UPDATE 2022.08.22
ETFとは、「Exchange Traded Funds」の略で、日本語で言うと「上場投資信託」ですが、その名の通り、証券取引所に上場している投資信託です。
ETFは特定の指数(インデックス)に連動するように運用されている商品が多いですが、指数は多くの銘柄で構成されていますので、1つのETFに投資するだけで分散投資ができます。
また、証券取引所に上場していますので、株式と同様にリアルタイムで価格が変動し、希望の金額で売買することもできます。このような特徴から、ETFは、“投資信託と株式のいいとこどりの商品”と言われています。
海外ETFは、アメリカや中国など海外の証券取引所に上場している投資信託のことを指します。NYダウなど海外の代表的な指数(インデックス)への連動を目指して運用されています。
日本でも徐々にETFへの注目度が高まっていますが、国内に上場しているETFはまだまだ規模が小さく取引が活発に行われているとは言えません。一方、海外ETFは純資産残高(投資信託の規模)が多く、日々の出来高(取引量)も大きいメジャーな金融商品です。そのため、償還されるリスク(運用会社が運用をストップしてしまう)も小さくなります。
海外ETFの運用会社で有名なのは、iシェアーズブランドのブラックロック、バンガード、スパイダーブランドのステートストリートなどです。投資初心者の方でも、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
海外ETFには、次のようなメリットがあります。
株式と投資信託の両方のメリットを合わせ持っている点が特徴です。
運用コスト(信託報酬)が低い
少額から取引できる
リアルタイムで取引できる
リスク分散できる
保有時にかかる信託報酬というコストについては、年率0.1%未満のETFもあり投資信託と比べても低めの銘柄が多くなっています。インデックス型の投資信託も低コストですが、ETFの方がさらに低めです。
通常、投資信託の信託報酬は、販売会社、運用会社、受託会社の3社に支払いますが、ETFの場合、販売会社への支払いがないという点が低コストのポイントになります。
1株数千円程度から取引できる銘柄もあり、まとまった資金がなくても投資することができます。
投資信託は1日1回算出される基準価額での売買のみとなりますが、ETFは株式と同じようにリアルタイムの取引価格で売買できます。金額を指定して注文する「指値注文」もできます。
連動を目指す指数(インデックス)を構成する多くの株式や債券などに分散投資されますので、リスクを分散できます。
また、外貨(米ドルなど)で資産の一部を持つという意味でもリスク分散になります。
一方で、いくつか注意点もありますのでこれらを理解した上で取引しましょう。
売買手数料が国内ETFより高い
為替手数料がかかる
為替リスクがある
分配金の再投資が自動ではできない
積立が自動ではできない
国内ETFの売買手数料はネット証券であれば10万円購入で100円程度ですが、海外ETF(米国)の場合、SBI証券や楽天証券でも約定代金の0.495%(税込)かかりますので、10万円購入で495円かかります。
ただし、NISA口座での取引なら買付手数料が優遇される証券会社もあります。
海外ETFは、外貨(米国ETFなら米ドル)で購入することになり、円を外貨に換える際の為替手数料がかかります。ネット証券でも円→米ドルの為替手数料は1米ドルあたり25銭程度かかることが多く、1,000ドルだと250円になります。
外貨で購入するため、購入時と売却時の為替レートの影響を受けます。円安時に買い円高時に売ると、ETF自体に利益が出ていても損失を受けることがあります。
長期投資の場合、分配金を再投資した方がより大きな利益を得られる可能性があります。
投資信託では購入時に選択すれば自動的に再投資ができますが、ETFにこの仕組みはありません。
毎月定期的に購入したいというニーズも想定されますが、一般的に海外ETFを自動で積立することはできません。(手動で積み立てることになります。)
SBI証券、楽天証券、マネックス証券には、海外ETF(または米国ETF)の積立サービスがありますが、限られた証券会社でしか提供されていません。
海外ETFの取引ができる主要ネット証券のうち、サービスが充実しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券のサービスを見ていきます。
NISA口座、特定口座の利用は、3社とも可能です。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|---|
NISA口座 |
|
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特定口座 |
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|
取扱本数を見ると、いずれのネット証券も海外ETFの多くは米国ETFです。本数は、楽天証券、マネックス証券がやや多くなっています。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|---|
米国ETF |
307 |
360 |
354 |
中国ETF |
13 |
22 |
28 |
シンガポールETF |
7 |
16 |
0 |
韓国ETF |
2 |
0 |
0 |
米国ETFの取引には売買手数料がかかりますが、現状は3社とも同じです。
ただし、NISA口座での取引なら3社とも買付手数料が0円またはキャッシュバックされますので、年間120万円までなら実質無料で取引できます。
為替手数料は、SBI証券と楽天証券が片道25銭なのに対して、マネックス証券は買付時は0銭、売却時のみ25銭という手数料体系です。
3社とも米ドルだけではなく日本円での決済も可能ですが、決済後に円と米ドルの為替取引が行われるため、日本円で決済する場合にも為替手数料が発生する点に注意しましょう。
SBI証券では住信SBIネット銀行からの外貨入金サービスがあり、これを利用すれば為替手数料が抑えられます。
円→米ドルの為替手数料はSBI証券では1ドルあたり25銭ですが、住信SBIネット銀行では1ドルあたり6銭と低コストです。米ドルの積立なら1ドルあたり3銭とさらに低くなります。
つまり、住信SBIネット銀行で円を米ドルに換えてから米ドルをSBI証券に入金するという方法なら、為替手数料を抑えて取引をすることができます。また、住信SBIネット銀行からSBI証券への振込手数料は無料ですので余分なコストもかかりません。
最も為替手数料を抑えられる方法は、SBI証券で利用できる「SBI FX α口座からの現引」で為替手数料は1米ドルあたり0.2銭と格安です。SBI FX αは以前は1万米ドル単位でしか取引できませんでしたが、現在は1,000ドル単位でも取引できるようになっており利用しやすくなっています。
外貨の準備について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
米国株式・ETFの定期買付サービス(積立サービス)は以前はSBI証券にしかありませんでしたが、現在は楽天証券、マネックス証券でも利用できます。積立はタイミングを気にせず購入できるため、続けやすい点がメリットですね。
マネックス証券では、対象の米国ETF(ウィズダムツリーETFと新規取扱いを開始した6ヶ月以内の米国ETF)の売買手数料がキャッシュバックされる「ゼロETF」というサービスがあり、売買手数料を気にせず取引ができます。
また、SBI証券、楽天証券では対象の米国ETFの買付手数料が無料。バンガード社等の人気銘柄が対象になっていますのでチェックしてみましょう。
海外ETFの取引を始める際には、次のような流れで注文まで進みましょう。総合口座の他に外国株取引口座の申し込みが必要な場合もあります。
証券会社の総合口座を開設する
外国株取引口座を申し込む(楽天証券は不要)
海外ETFの銘柄を選ぶ
必要に応じて為替取引や入金をする
購入株数を決めて注文を出す
米国ETFの取引時間は日本の深夜にあたりますが、注文できる時間は証券会社によって違いがあります。 マネックス証券以外は、一部ですが注文を出せない時間帯もありますのでご注意ください。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|---|
注文時間 |
10:30~19:00 |
月〜金:8:00~翌6:00 ※16:00~17:15は外貨決済のみ 土:8:00~翌2:30、 日:6:00~翌2:30、 |
24時間 |
取引時間 |
23:30~翌6:00 |
SBI証券と同じ |
SBI証券と同じ |
“海外ETFなんてぜんぜんわからない”という方も多いかと思いますが、中身は投資信託ですし、取引の仕方は株式取引とほぼ同じですので特別なものではありません。また、ロボアドバイザーの投資商品は海外ETFである場合もありますので、そう聞けば興味もわくのではないでしょうか。
ネット証券で海外ETFを取引するなら、SBI証券、マネックス証券がおすすめです。為替コストを抑えたいならSBI証券が良いですよ。
2022年8月22日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。