UPDATE 2019.1.11
ETFとは、「Exchange Traded Funds」の略で、日本語で言うと「上場投資信託」ですが、その名の通り、証券取引所に上場している投資信託です。
ETFは特定の指数(インデックス)に連動するように運用されている商品が多いですが、指数は多くの銘柄で構成されていますので、1つのETFに投資するだけで分散投資ができることになります。
また、証券取引所に上場していますので、株式と同様にリアルタイムで価格が変動し、希望の金額で売買できます。このような特徴から、ETFは、“投資信託と株式のいいとこどりの商品”と言われています。
海外ETFは、アメリカや中国など海外の証券取引所に上場している投資信託のことを指します。NYダウなど海外の代表的な指数(インデックス)への連動を目指して運用されています。
日本でも、徐々にETFへの注目度が高まっていますが、国内に上場しているETFはまだまだ規模が小さく、取引が活発に行われているとは言えません。一方、海外ETFは純資産残高(投資信託の規模)が多く、日々の出来高(取引量)も大きい、メジャーな金融商品です。そのため、償還されるリスク(運用会社が運用をストップしてしまう)も小さくなります。
海外ETFの運用会社で有名なのは、iシェアーズブランドのブラックロック、バンガード、スパイダーブランドのステートストリートなどです。投資初心者の方でも、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
海外ETFには、次のようなメリットがあります。
株式と投資信託の両方のメリットを合わせ持っている点が特徴です。
運用コスト(信託報酬)が低い
少額から取引できる
リアルタイムで取引できる
リスク分散できる
保有時にかかる信託報酬というコストについては、年率0.1%未満のETFもあり、投資信託と比べてもやや低めのものが多くなっています。インデックス型の投資信託も低コストですが、ETFの方がさらに低めです。
通常、投資信託の信託報酬は、販売会社、運用会社、受託会社の3社に支払いますが、ETFの場合、販売会社への支払いがないという点が低コストのポイントになります。
1株数万円から取引できる銘柄もあり、まとまった資金がなくても投資することができます。
投資信託は1日1回算出される基準価額での売買のみとなりますが、ETFは株式と同じようにリアルタイムの取引価格で売買できます。金額を指定して注文する「指値注文」もできます。
連動を目指す指数(インデックス)を構成する多くの株式や債券などに分散投資されますので、リスクが分散できます。
また、外貨(米ドルなど)で資産の一部を持つことによってもリスクが分散できます。
一方で、いくつか注意点もありますので、これらを理解した上で取引しましょう。
売買手数料が国内ETFより高い
為替手数料がかかる
為替リスクがある
分配金の再投資が自動ではできない
積立が自動ではできない
国内ETFの売買手数料は、ネット証券であれば10万円購入で100円程度ですが、海外ETF(米国)の場合、ネット証券でも最低5米ドル(税別)かかります。
ただし、NISA口座での取引なら、買付手数料が優遇される証券会社もあります。
海外ETFは、外貨(米国ETFなら米ドル)で購入することになり、円を外貨に換える際の為替手数料がかかります。ネット証券でも円→米ドルの為替手数料は1米ドルあたり25銭で、1,000ドルだと250円になります。
外貨で購入するため、購入時と売却時の為替レートの影響を受けます。円安時に買い、円高時に売ると、ETF自体に利益が出ていても損失を受けることがあります。
長期投資の場合、分配金を再投資した方がより大きな利益を得られる可能性があります。
投資信託では、購入時に選択すれば自動的に再投資ができますが、ETFにこの仕組みはありません。
毎月定期的に購入したいというニーズも想定されますが、一般的に海外ETFを自動で積立することはできません。(手動で積み立てることになります。)
投資信託での積立サービスは一般的ですが、海外ETFの積立はSBI証券のみのサービスになります。
海外ETFの取引ができる主要ネット証券は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券です。
NISA口座、特定口座の利用は、3社とも可能です。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|---|
NISA口座 |
|
|
|
特定口座 |
|
|
|
取扱本数を見ると、いずれのネット証券も海外ETFの多くは米国ETFです。本数にも大きな違いはありません。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|---|
米国ETF |
270 |
283 |
271 |
中国ETF |
29 |
30 |
48 |
シンガポールETF |
4 |
0 |
0 |
韓国ETF |
1 |
0 |
0 |
米国ETFの取引には、売買手数料、為替手数料がかかりますが、現状は3社とも同じです。
ただし、NISA口座での取引なら、3社とも買付手数料がキャッシュバックまたはポイントバックされますので、年間120万円までなら実質無料で取引できます。
3社とも米ドルだけではなく日本円での決済も可能ですが、決済後に円と米ドルの為替取引が行われるため、日本円で決済する場合にも為替手数料が発生する点に注意しましょう。
為替手数料は3社横並びですが、SBI証券では住信SBIネット銀行からの外貨入金サービスがあり、これを使うと為替手数料が抑えられます。
円→米ドルの為替手数料は、SBI証券では1ドルあたり25銭ですが、住信SBIネット銀行では1ドルあたり4銭と低コストです。外貨の積立なら2銭でさらに低くなります。
つまり、住信SBIネット銀行で円を米ドルに換えてから、米ドルをSBI証券に入金するという方法にすれば、為替手数料を抑えて取引をすることができます。また、住信SBIネット銀行からの振込手数料は無料ですので、余分なコストもかかりません。
最も為替手数料を抑えられる方法は、SBI証券で利用できる「SBI FX α口座からの現引」で、為替手数料は1米ドルあたり0.05銭と格安です。しかし、1万米ドル単位でしか取引ができないため、一度に100万円以上の為替取引をしなければならないという点がややネックになります。
外貨の準備について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
一般的に、ETFでは投資信託のような積立(定期定額購入)はできませんが、SBI証券には便利なサービスがあります。 SBI証券の「米国株式/米国ETF定期買付サービス」では、米国ETFを毎月自動注文することができ、取引の手間がかかりません。米国ETFの積立をしたい場合は、SBI証券が便利です。
海外ETFは、売買手数料が高い点がデメリットの1つですが、マネックス証券では、対象の米国ETF(ウィズダムツリー社のETF30本程度)の売買手数料がキャッシュバックされる「ゼロETF」というサービスがあり、売買手数料を気にせず取引ができます。
海外ETFは、SBI証券では「外国株式・海外ETF」、楽天証券では「海外株式・海外ETF」、マネックス証券では「米国株・中国株」から注文できます。
取引を始める際には、次のような流れで注文まで進みましょう。総合口座の他に外国株取引口座の申し込みが必要な場合もあります。
証券会社の総合口座を開設する
外国株取引口座を申し込む(楽天証券は不要)
海外ETFの銘柄を選ぶ
必要に応じて為替取引や入金をする
購入株数を決めて注文を出す
米国株式の場合、取引時間は日本の深夜にあたり、注文できる時間は証券会社によって違いがあります。 マネックス証券以外は、いつでも注文が出せるわけではありませんのでご注意ください。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|---|
注文時間 |
10:30~19:00 |
15:00~翌6:00 ※15:00~17:15は外貨決済のみ |
24時間 |
取引時間 |
23:30~翌6:00 |
SBI証券と同じ |
SBI証券と同じ |
“海外ETFなんてぜんぜんわからない”という人も多いと思いますが、中身は投資信託ですし、取引の仕方は株式取引とほぼ同じですので、それほど特別なものではありません。また、最近話題のロボアドバイザーの投資商品は海外ETFである場合もありますので、そう聞けば興味もわくのではないでしょうか。
ネット証券で海外ETFを取引するなら、SBI証券、マネックス証券がおすすめです。為替コストを抑えたいならSBI証券が良いですよ。
2019年1月11日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。