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01保険は必要?必要ない?保険の必要性について整理してみました

UPDATE 2020.1.6

はじめに
テレビや新聞などで様々な保険の広告を目にしたり、周りで保険に入っている人がいると、保険に入るのが当たり前のことのように思う人も多いのではないでしょうか。
しかし、保険の必要性はその人その人によって異なります。
保険でカバーすることが合理的でない場合もあります。また、社会保険や預貯金など、保険以外の解決方法で対応できるリスクもあります。
ここでは、そもそも保険とは何のためのものかということを考えながら、必要性の高い保険、低い保険を整理してみますので、皆さんも自分にとって必要な保険は何かを考えていただければと思います。

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必要性が高い保険は、少ない負担で大きなリスクに備えられるもの

保険はもともと皆でお金を出し合って、困っている人にお金を出すという仕組みです。つまり、自分だけでは対応が難しい大きな経済的リスクに備えるためものです。ですので、自分で対応できるような小さなリスクに、わざわざ保険を掛ける必要はありません。
発生確率は低くても万が一起こったときは、収入と支出のバランスを大きく崩すような経済的な損失に対して備えるためのものです。

リスクをカバーしてくれるものとして、まず知っておくべきなのは、以下のような社会保険があるということです。

  • 死亡した場合は遺族年金
  • 障害状態になったら障害年金
  • 老後を迎えたら老齢年金といった年金制度
  • 現役時代は3割の負担で医療が受けられる健康保険制度
  • 働けなくなった場合は傷病手当金

このように、他国に比べても手厚い社会保険があります。
ただし、それで十分かどうかと言えばそうではありません。社会保険は法律上、最低限の保障としての位置付けですので足りない人が大半でしょう。

その不足分の補うのが民間の保険の役割です。
保険のいいところはレバレッジが効くところです。月々僅か数千円の負担で、万一の場合に数千万円の保障を得られるのが保険の強みです。
つまり、少ない費用で大きなお金を準備できるという保険の利点を生かした商品が、“加入する必要性が高い保険”と言えるでしょう。

以下、民間の保険を、保険の種類ごとに、必要性の高い保険と、必要性の低い保険を見ていきましょう。

加入する必要性の高い保険

死亡保険(定期保険、収入保障保険)

“死亡保険”とは、万が一保険期間中に病気や事故で亡くなったとき、遺された家族に保険金が支払われる保障です。死亡保険には定期保険、収入保障保険、逓減定期保険といった掛け捨てタイプ以外に養老保険や終身保険いった解約返戻金があるタイプもあります。

昨今の低金利時代においては一部を除き、養老保険や終身保険は少ない保険料で大きな保障を確保できるわけではないのでお勧めはできません。現状はより少ない保険料で大きな保障を買える定期保険や収入保障保険の方が良いでしょう。

特にどのような人にとって必要性が高いかというと、家族を養っておりその人が亡くなってしまうと、家族が困ってしまう人でしょう。
経済的な柱を失えば遺された家族のその後の生活は一変します。もちろん社会保険である遺族年金がありますが、それまでの生活を維持することは難しいと思われます。
遺族年金がどの程度出るのかを試算し、必要な分を死亡保険でカバーするのが望ましいでしょう。

加入する必要性がやや高い保険

就業不能保険・所得補償保険

一家の経済的な柱が事故や病気で働けない状態になってしまうことも、家計の収支バランスを崩してしまう重大なリスクです。
こうしたリスクに対しては、社会保険の一つである健康保険には、傷病手当金があるのと、また、障害を負ってしまった場合は障害年金があります。
そして、これら公的な保険を補完するための民間の保険としては、就業不能保険、所得補償保険といった保険があります。

一見、合理的に見えるこの保険ですが、受け取るためのハードルが高いという点には注意が必要です。
いわゆる支払事由と言われるものですが、ただ働けなくなったら出るというものではなく、働けない状態の定義が約款上決まっており、状態によっては保険金がおりない場合もあります。
予め支払事由をしっかりと理解した上で加入を検討しましょう。

がん保険

がん保険は、健康保険がきく標準治療が大半なのでそれほど治療費はかからないし、高額療養費もあるので加入する必要性は低い、と言われることがあります。
確かに初期治療だけを考えるのであれば、ある程度の蓄えがあれば保険がなくても大丈夫なことが多いでしょう。

しかし、がんは症状や進行具合によって治療が長期化することもあります。もし治療が長引けば通院などで通常通り仕事をすることは難しくなるでしょうし、退職を余儀なくされることもあります。
また仮に治癒した場合でも、それまで通りに仕事を行うことが難しくなったり、再就職も難しくなってしまうこともあり得ます。
働けなくなってしまえばその分、収入が減り生活が困窮してしまいます。

また、状況によっては標準治療以外の治療を選択することもあり得ます。
自由診療等、治療の選択の幅を持っておきたいと考えるのであれば、がん保険は一考の価値はあるでしょう。

加入する必要性が低い保険

それでは“加入する必要性の低い保険”は、どういった保険でしょうか。
それは、わざわざ保険で備えなくてもよいもの、他の手段で代替できるもの、と言えるでしょう。
保険の最大の利点は、少ない保険料で大きな保障が得られることです。支払っている保険料の割にお金がもらえない保険や、他で代替できるのであれば、わざわざ保険に加入する必要はありません。
極端に言えば、10万円支払って10万円の給付金をもらうのであれば貯蓄で対応ができ、保険の意味はありません。
あくまでも、リスクに備えるものとして保険があることを忘れないようにしましょう。

医療保険

それでは、具体的にどういった保険の必要性が低いのでしょうか。
払った分に対して、もらいが少ない保険の代表格が医療保険です。最もポピュラーな保険で、入院したら「入院日額×日数の入院給付金」や 「手術給付金」などが支払われるものです。
知っておきたいのは、医療保険には1回の入院で給付できる“支払限度日数”や、全保険期間のうち給付できる“通算限度日数”と、少々分かり難い条件が設定されているため、保険に加入していても受け取れる給付金額には限界があります。

高額療養費制度や付加給付などが使えれば、自分の持ち出しは案外少なく、民間保険に入る価値はそれほどありません。また、医療制度や医療技術の変化に伴い保障内容が古くなる可能性もあり、加入する必要性が低い保険です。

とはいえ、現時点でまったくお金に余裕がなく、高額療養費制度を利用しても医療費が負担になる人は預貯金に余裕ができるまでは割安な医療保険に加入しておいても良いでしょう。
また、会社で団体医療保険がある人はそちらを利用するのも手です。保険会社と会社が契約していおり、個人で医療保険に入るより、同じ保障内容でも保険料が割安だからです。

学資保険

学費保険は、子どもの進学のために積み立てる貯蓄型保険の代表的な商品です。死亡リスクよりも貯蓄目的が前提であり、計画的に教育費を準備したいというニーズに合致した商品です。昨今の低金利でも根強い人気があります。

しかし、貯蓄機能だけを考えるなら、低金利時代に学資保険で積み立てるメリットはあまりありません。
教育費は保険ではなく、つみたてNISAといった税制優遇の制度も使い、投資信託で積み立て投資を行った方が効率が良いでしょう。

また、学資保険には「契約者である親が亡くなったとき」の保障機能が付いています。親が亡くなると保険料の払い込みは免除されて、進学時には満期金がきちんと受け取れるものです。しかし、親から子どもへの死亡保障としては金額が少なく、生活費や教育費を十分に準備してあげられる程にはなりません。
死亡に対するリスクについては定期保険や収入保障保険で対応し、教育費は投資信託で積み立てていく方が合理的です。

定額型貯蓄性保険や個人年金

学資保険と同様に、固定金利の貯蓄型保険である養老保険や終身保険、個人年金保険は、低金利の昨今において資産形成する手段としては全くといって魅力がありません。
1990年代中頃までは予定利率の高い商品もありましたが、昨今の金利水準では、元本保証で僅かに増えるとしても長期間低金利で固定するのは機会損失と言わざるを得ません。やはり保険ではなくiDeCoやつみたてNISAといった税制優遇制度を通じて投資信託で資産形成をするのが良いでしょう。

また、低金利を受けて、保険会社や保険代理店は、より予定利率が高い米ドル建終身保険や養老保険、変額保険などを勧めてきます。
確かに死亡保障を確保しながら資産形成ができますし、保険料控除や税制メリットもあります。贈与プランや相続対策にも有効ですが、資産形成だけを見ると必ずしも効率は良くありません。
また、販売手数料を目的とした、販売側の都合で高額な保険料での契約も目立ちます。資産形成が目的に含まれるのであれば、投資信託の積み立てと比較してみてもらいたいと思います。

おわりに

もともと保険とは、何か大きな損害を被ったときの損害を最小限に抑えるためのものです。
不安という理由だけでやみくもに加入するのではなく、社会保険や自己資金では不足してしまう分を補うためのものとして、うまく保険を活用してほしいと思います。

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