※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています
- はじめに
不動産投資に目が向く理由の一つとして、しばしば「価格変動リスクが緩やか」であることがあげられます。不動産投資は、株価のようには価格が大きく動かず、また売却するまでは価格変動の影響をあまり受けないため、長期で投資するうえで安心感があります。
しかし、不動産の受益権を小口化したファンド投資においては、必ずしもこの特徴が当てはまらないので注意が必要です。特に東証で上場したREITは、証券口座で手軽に売買できる反面、価格変動リスクがある点に注意しましょう。
REITの価格変動リスク
REITの過去5年間の推移をみてみると、次のとおりです。なお、特記ない限りは、東証REIT指数を題材として紹介していきます。
東証REIT指数の月次データ
過去5年の最高値は2021年の2,167.06ですが、その後徐々は価格が下落傾向で、2025年3月の価格は1,691.63なので、市場平均でみておよそ22%値下がりしている計算となります。
東証REIT指数の月次の価格変動率の推移
月次の変動率をグラフ化するとこのような形に。変動率の平均値については0.15%ですが、過去5年で最も上昇した月は7.90%、最も下落した月は-5.78%でした。
価格変動するということは、キャピタルゲインを得るチャンスがあるということなので、必ずしも悪いことではありません。ただし、不動産投資に価格の安定性を期待する方の中には「イメージより価格が変動するな」と感じる方もいるでしょう。
こちらは、あくまで市場全体の平均的な価格の推移や変動率です。実際に個別のREIT銘柄に投資する場合には、さらに価格変動が大きくなる可能性もあります。
REITの価格が変動する要因
REITは上場しているため、変動要因や投資家の見通しがスピーディに価格に織り込まれるのが特徴です。価格変動要因のいくつかは現物の不動産にも当てはまります。
それでも、REITの価格変動が大きいのは、REITが上場商品であるという部分が大きいと考えられます。
不動産本来の変動要因
REITの資金は不動産に投資されることから、当然ながら価格変動の土台には不動産市況の変動があります。簡単に整理すると、主に次の二つの要因がREITの変動要因となります。
- 不動産市場
- 金利市場
まず、不動産の市況変動はREITの価格に影響をあたえます。不動産の地価や取引価格、賃料の上下などが変動要因となります。直接REIT価格に影響を与えるほか、先にREITの分配金の増減要因となる場合もあります。
また、金利水準もREITの価格変動要因です。現物の不動産へ投資している方はイメージしやすいかもしれませんが、REITもローンを利用しているため、金利水準が不動産経営に影響を与えるのです。
もし、金利水準が下がれば、ローン支払いの負担が軽減する可能性が高まります。つまり、将来の経営成績の改善が期待されるため、REIT価格にとってはプラスです。逆に金利上昇は価格の逆風要因となります。
不動産・金利の市場とREIT価格の変動の関係性を整理すると、次のとおりです。
この表は横にスクロールできます
| REIT価格にプラス | REIT価格にマイナス | |
|---|---|---|
| 不動産市況 | 市況が良好 | 市況が悪化 |
| 金利水準 | 金利低下 | 金利上昇 |
なお、これらの要因は現物での不動産投資やほかの不動産ファンドの投資でも同じような影響をがあります。しかし、REITは上場しているがゆえに、これらの市場変化の影響がすぐに出るのが特徴です。
上場しているためNAVと市場価格が乖離する
前の見出しで紹介した要因は、基本的にはREITのバランスシートの純資産である「NAV」に影響を与えます。それぞれの要因が以下のようにバランスシートに影響を与えて、変動要因となるのです。
REITとはNAVの部分を発行口数で割り算したものなので、本質的な価値で考えれば、時価総額(=投資口価格×発行口数)とNAVは同額になるように見えます。
しかしながら、東証で売買するときのREITの価格は一口当たりのNAVと同額でなければならないという決まりはありません。そのため、現実にはNAVと時価総額には乖離が生まれます。
全ての情報を投資家が公平に入手出来て、完全に自由に売買ができれば、理論上はNAV=時価総額に収れんするはずなのですが、実際には投資家が得られる情報には限りがあり、また、全投資家がいつでも、いくらでも売買できるわけではないので、NAVと時価総額には乖離が生まれます。この乖離は「NAV倍率」という指標で表現されます。
NAV倍率の5年間の推移は以下のとおりです。過去2年ほどは1を下回る「割安」な状態が続いています。
上場という仕組みにより、NAVから乖離した水準でも柔軟に売買ができるため、バランスシート上の純資産本来の価値変動よりも頻繁に、大きく価格が変動する余地があるのです。
現状に加えて市場の見通しが織り込まれる
上場していて、柔軟に売買ができるがゆえに、REITには投資家の見通しが大きく反映されやすいと考えられます。投資家はそれぞれが異なる見通し・考えを持つため、市場価格も頻繁に変動する一因となるのです。
たとえば、過去の2年はNAV倍率が低下し続ける「割安な」状況が続いています。この時期は不動産市況は比較的良好で、NAVの上昇に寄与しうる環境でした。2024年からは金利の引き上げが逆風要因となりましたが、NAV倍率は2021年中盤から下落しています。つまり「不動産市況は好調な割に、REIT価格は上昇しづらい」という状態が長期化しているのでう。
投資家のREITに対する弱気な見方が織り込まれているがゆえに、このような状態が起きていると考えられます。たとえば2022年頃は世界各国でインフレが進んで、米国では急速な利上げが始まった時期です。そのため、日本でも金融緩和の縮小や利上げが進むのでは?との見方が広がりました。アメリカほど急速ではありませんでしたが、日本でも同時期にインフレが進行し始めたことも、弱気な見通しを加速させる要因となりました。
このように、投資家の見通しや投資家の考えが直ちに価格に織り込まれるという点も、変動を助長する一因といえます。
海外投資家の投資比率が高い
海外投資比率の高さも、REIT価格の変動を増幅させている可能性があります。2025年3月時点でみると、50%強が海外投資家による売買となっています。海外投資家が参入しやすいのも、上場商品ならではといえるでしょう。
海外投資家が多いことにより、海外投資家の事情や見通しが反映されやすいのもREITの特徴で、そのことが価格変動をもたらす可能性もあります。
たとえば、先ほどの利上げの件でいえば、海外投資家は利上げにより資金調達がしづらくなったり、投資に求めるリターン目線が引きあがったりします。その結果として、日本不動産への投資が慎重化して、買い需要が下がる=価格が上昇しにくい状態を産み出します。
また、グローバルな利上げ・インフレ上昇の潮流のなかで、日本の金利上昇リスクを国内投資家より過大評価する可能性もあります。
海外投資家というプレイヤーが存在することで、REIT価格の変動要因はさらに複雑化して、価格変動を増幅させる要因となりうるのです。
不動産投資クラウドファンディングなら価格変動リスクを抑えられる可能性
REITの価格変動リスクが気になるのであれば、不動産投資クラウドファンディングで不動産の少額投資を行うのも一案です。
不動産投資クラウドファンディングも価格変動や元本毀損のリスクがゼロになるわけではありませんが、仕組み上REITよりは影響を抑制できる可能性があります。また、実際に元本毀損事例が一つもないサービスも散見されます。
途中売買がしづらい分価格が変動しない
不動産投資クラウドファンディングのほとんどは、募集を一度締めきると、償還まで売却がしづらいスキームがほとんどです。COZUCHIなど、一部売却の仕組みがあるサービスもありますが、上場商品のように頻繁な売買はできません。
途中売却ができないとなると、ファンドの取引が行われないため、価格変動は起こりようがありません。そのため、価格変動を気にせずに投資ができます。
少数の良質な物件に期間を決めて運用するため利回りの予見性が高い
不動産投資クラウドファンディングは、多くの場合少数の物件にファンド資金を投資します。また、運用期間はあらかじめ決まっているため、償還時の不動産売却にも見通し・めどを持ちながら運用されます。
その結果として、獲得できる利回りの安定性が高く、募集時に提示していた利回りを実現しやすい構造があります。もちろん不動産市況が急変するリスクはあるものの、不動産会社が良質な物件を厳選して運用することにより、実態としては多くのファンドで、元本毀損なく当初提示した利回りを実現させています。
REITのようにファンドサイズが大きく、さらに運用期間の定めがないファンドの場合は、多数の不動産を入れ替えながら運用する必要があります。ファンドサイズも大きいため、不動産投資クラウドファンディングほどに安定した物件に集中投資することはできません。
元本毀損の事例は少ない
ここまでの特性をふまえて、実際COZUCHIのように、元本割れの実績がひとつもないサービスもみられます。投資先の不動産が低かったり、運用戦略に無理があったりすると、元本毀損のリスクが高くなる恐れもありますが、実際に多くのサービスにおいて、大部分のファンドが正常償還を迎えています。
元本既存のリスクが小さいのであれば、運用期間中に価格が変わることは基本的にないため、投資家が投資開始した後は償還を待つだけでよく、REITと比べると価格変動リスクを心配せずに投資ができます。
価格変動リスクを抑えた不動産投資ならクラウドファンディングを選ぶのも一案
J-REITと不動産投資クラウドファンディングは、いずれも不動産に少額投資できるファンドですが、その商品性が大きく異なります。
J-REITは、上場しているがゆえにリアルタイムで価格が変動するため、結果として不動産投資としては価格変動リスクが大きい傾向にあります。上場しているがゆえの売買のしやすさが魅力である反面、価格の安定性を重視する投資家にとっては望ましくない特徴といえます。
価格変動を抑えて少額投資を行いたいなら、不動産投資クラウドファンディングへ投資するのも一案です。プロの不動産会社が厳選する個別の不動産に期間を区切って投資するスキームであり、また途中売買がしづらいスキームのため、価格変動を気にせずに投資ができます。
2025年5月2日時点の情報をもとに記事を作成しています。