クラウドファンディング

不動産投資クラウドファンディングの税金と確定申告について解説

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はじめに

日本では、NISAなどの制度を活用した一部のケースを除いて、投資で収益を獲得すれば多くの場合において課税対象となります。
 
不動産投資クラウドファンディングも同様で、獲得した分配金・償還益は雑所得や不動産所得となり、金額に応じて所得税や住民税が発生します。今回の記事では、不動産投資クラウドファンディングの税金・確定申告の仕組みをまとめました。

不動産投資クラウドファンディングの投資の所得と税金

不動産投資クラウドファンディングの分配金や償還益は、以下の2つの形で所得として加味されます。

  • 匿名組合型:雑所得
  • 任意組合型:不動産所得

匿名組合型と任意組合型の違いを簡単にまとめると次のとおり。最近でみれば、匿名組合型のファンドが多数を占めるとみられます。

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匿名組合型任意組合型
不動産の所有権なしあり
運用期間の目安数ヶ月〜数年数年〜10年程度
優先劣後方式ありなし
節税効果なしあり

いずれにしても、所得税や住民税の課税対象となります。

匿名組合型|雑所得

匿名組合型の不動産投資クラウドファンディングの場合、分配金や償還益は「雑所得」に分類されます。雑所得は給与所得や配当所得、不動産所得など、他の区分に当てはまらない所得全般を指すものです。たとえば以下のようなものも含まれます。

  • ネットオークション・フリマアプリ・ネットショップによる収入
  • アフィリエイトの収入
  • 原稿料や印税、講演料

雑所得は、先物取引などの一部の申告分離課税となる所得を除いて、総合課税となります。原則という意味では、他の所得と一緒に確定申告をして、所得に応じた所得税や住民税を払わなければなりません。
この時に適用される税率は次のとおりです。こちらは雑所得単体ではなく、他の所得と合算した総所得に対して、次のような税率と控除額で課税されます。

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課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円
出所:国税庁

住民税は自治体によって制度が微妙に異なりますが、おおむね総所得の10%程度を納めなければなりません。

給与以外の所得が20万円以下なら確定申告は不要

給与所得者で、雑所得が20万円以下の方は、確定申告が不要となる特例があります。投資規模がある程度大きくなくて、雑所得が不動産投資クラウドファンディングの分配金のみの方は、実態として確定申告が不要な方が多いでしょう。

なお、確定申告が不要だからと言って、税金がかかっていないわけではありません。不動産投資クラウドファンディングでは、基本的に税金が源泉徴収されていて、投資家には税金を差し引いた後の金額が振り込まれます。源泉徴収の税率は20.42%です。すなわち、雑所得が20万円以下の場合は、簡便に20.42%の税金を負担していることになります。

また、確定申告が不要でも、住民税は納める必要があります。確定申告をしない場合は、自治体に所得額を報告して住民税に反映させなければなりません。具体的な方法については、自治体に問い合わせてください。

確定申告が必要な人、必須ではないがしたほうがいい人

確定申告は、主に次のようなケースで必要になります。

  • 給与所得者で雑所得が20万円を超える人
  • 給与所得・雑所得以外の収入がある人
  • 給与による年収が2,000万円を超える人
  • 給与所得者ではなく、本業の所得が課税対象の人

会社員などの給与所得者の場合、雑所得が20万円を超えると特例が適用されなくなるため、確定申告が必要です。これは不動産投資クラウドファンディングだけではなく、全ての雑所得合計で判断されます。副業やフリーマーケットアプリなどで、他にも雑所得がある方は注意しましょう。

また、給与所得と雑所得以外に収入がある場合も、その収入の性質によっては確定申告が必要です。たとえば事業所得や不動産所得、譲渡所得などは、基本的に確定申告が必要です。一方で、配当所得や利子所得などは、基本的に確定申告が不要です。

給与所得者でも、年収が2,000万円を超えると確定申告が必須になります。この時には、不動産投資クラウドファンディングの所得も申告しなければなりません。本業収入が給与所得ではないという方も同様です。

また「必須ではないが確定申告をした方がいい人」もいます。分配金は、自動的に20.42%の税金が引かれますが、 課税所得が695万円を下回る人は、所得税率がこれよりも低くなります。この場合、確定申告をすることで、源泉徴収で払い過ぎた税金を取り戻せるのです。

任意組合型|不動産所得

不動産投資クラウドファンディングには、もう一つの仕組みとして任意組合型というタイプがあります。投資するだけでは気付きにくい部分もあるのですが、任意組合型の場合、分配金や償還益は全て不動産所得となります。

不動産所得については、自動的に確定申告が必要になります。免除になる特例はないので、忘れずに申告を行いましょう。不動産所得も総合課税の一つで、他の所得区分と合算して所得税率と税額が計算されます。

節税効果があるのが任意組合型の特徴

任意組合型は、経費計上ができたり、節税効果があったりするのが特徴です。任意組合型では、投資する不動産の所有権が発生します。任意組合型の分配金を法的な観点でみると、所有権に基づいて、投資物件から発生した賃料からコスト等を引いた金額を、分配金として受け取っている構造です。

そのため、投資物件に対して発生する減価償却費は投資家の経費となります。この経費を正しく申告することで、確定申告上の所得を抑えることが可能です。

また、相続税の圧縮にもつながります。任意組合型ファンドを持つ人にもしものことがあった場合、ファンドは不動産の所有権として遺族などに相続されます。

このとき、所得税の計算は不動産と同様に実行されます。実態よりも20〜30%程度は割安な不動産評価額が適用される仕組みです。この仕組みにより、不動産での相続には節税効果がありますが、任意組合型の不動産投資クラウドファンディングでも、同じような効果が期待できるというわけです。

不動産投資クラウドファンディングで分配金を得た時の確定申告

不動産投資クラウドファンディングで分配金が出た時の確定申告のプロセスは、大きく分けて以下のような形となります。

  • 必要書類の取得(支払調書・年間取引報告書など)
  • 確定申告書類の作成
  • 書類の提出
  • 納税

それぞれのプロセスについて紹介していきます。

必要書類の取得(支払調書・年間取引報告書など)

確定申告の作成に必要な書類を一通り集めなければなりません。不動産投資クラウドファンディングの分配金の申告に限って言えば、各サービスが発行する「支払調書・年間取引報告書」を集めておくとよいでしょう。

複数の不動産投資クラウドファンディングを利用している場合は、それぞれから書類の取得が必要となるので、早めに準備を進めておくのが得策です。不動産投資クラウドファンディングでは、税金の源泉徴収がなされた後の金額が分配金として入金されます。

所得税額を計算する時には、すでに徴収済みの税金を考慮しなければなりません。分配金額と、徴収済みの源泉税を正確に把握するためには、前述の「支払調書・年間取引報告書」を参照するのが確実です。

確定申告では、前年の給与所得もあらためて申告する必要があります。本業の収入や給与の中から源泉徴収済みの金額も、確定申告書に織り込む必要があるからです。

不動産投資クラウドファンディングによる所得のほかにも申告対象の所得や控除がある時には、合わせて申告が必要です。たとえば、以下のような申告対象がある場合は、それぞれに必要な書類を準備しましょう。

  • ふるさと納税
  • 医療費控除
  • 不動産投資による所得
  • 副業による所得
  • 証券投資による配当所得や利子所得

など

確定申告書類の作成

書類が集まったら、確定申告書類の作成を進めます。多数のフォーマットがありますが、不動産投資クラウドファンディングでの分配金を申告するなら、最低限以下の書類の提出が必要です。(白色申告を想定)

  • 第一表
  • 第二表
  • 収支内訳書

内容が正しければ手で数値等を記入しても問題はありませんが、手早く正確に作成するうえでは、パソコン等で作成した方が確実です。複雑性が高い場合は会計用のソフトなどを使用する方もいますが、国税庁の「国税庁 確定申告書等作成コーナー」でも作成できます。

申告内容がさほど複雑でないのなら、国税庁のシステムでも充分です。当システムでは、項目に従って収入や経費などの金額を入力していくと、各書類に金額が印字される仕組みとなっています。入力する金額は、あらかじめ用意しておいた帳票類を参照しましょう。

書類の提出

確定申告書類は、大きく分けて以下の提出方法があります。

  • 電子データをそのまま提出
  • 郵送で提出
  • 税務署での手渡し(ポスト投函)

マイナンバーカードとパソコンと接続されたカードリーダーがあれば「【e-Tax】国税電子申告・納税システム 」で電子データをそのまま税務署へ提出可能です。入力に対して疑問点等がなければ、一番手間のかからない方法でしょう。「国税庁 確定申告書等作成コーナー」で作成した場合は、そのままe-tax経由での提出が可能です。

また、書類を印刷して郵送での提出も可能です。そのほか、税務署での手渡しや時間外のポスト投函といった方法もあります。特に税務署の手渡しでは、職員などに記入の不備がないかチェックしてもらえます。
初めてで記入内容の正確性に自信がない方などは、手渡しが得策です。原則としては、毎年3月15日までに申告を済ませる必要があります。

納税

国税庁 確定申告書等作成コーナー」で作成した場合には、そのまま納税方法の指定が可能です。クレジットカード支払いや銀行振り込み、コンビニでのQRコード納付、指定金融期間もしくは税務署での現金納付などで支払いができます。

所得税の納付期限は、確定申告と同様に通常は3月15日です。確定申告書の提出期限と同日なので、期限ぎりぎりで提出する場合には、支払い準備も合わせておきましょう。

不動産投資クラウドファンディングの税金と確定申告の方法をおさえておこう

不動産投資クラウドファンディングで分配金を獲得すると、雑所得や不動産所得が発生します。実態としては匿名組合形式の出資が多数を占めるため、雑所得に該当する場合が多いと想定されますが、計上される所得区分が異なると、税金の計算方法も異なるので注意しましょう。

雑所得で申告不要の特例の適用外になる場合や不動産所得に該当する場合は、確定申告が必要です。多数の書類を参照する必要性が出るため、期限切れにならないよう早めに準備を進めておきましょう。

2025年4月26日時点の情報をもとに記事を作成しています。

Fin/D編集部編集者

株式会社ヒカリナ

20年にわたりネット証券・銀行など金融サービスの改善業務、コンテンツ企画制作を担当してきたメンバー、各種金融事業者での実務経験者、各種資格保有者で構成しています。豊かな人生を送るための基本とも言える金融商品・サービスについて中立的な視点で分かりやすく提供しています。

伊藤 圭佑監修者

証券会社、外資系資産運用会社で約14年の勤務経験を持つ。また、個人投資家として15年以上の資産運用経験を持ち、投資信託、株、ETF、不動産、FX、クラウドファンディングなどへ投資。キャリアを通じた専門性と個人投資家の経験を生かし、金融や不動産投資、経済関連の情報提供を行なっている。証券アナリスト、FP3級保有。

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