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- はじめに
債券投資をするなら、個別の債券に投資するだけでなく、債券へ投資する投資信託(債券ファンド)を購入する方法もあります。今回は債券ファンドの基本的な特徴や、代表的な銘柄について紹介します。
債券へ投資する投資信託(債券ファンド)とは?
債券ファンドとは、投資家から資金を集めて多数の投資先に投資して運用する投資信託のうち、国債や社債などの債券へ投資して運用する投資信託です。
投資信託とは、投資家から預けた資金を運用会社が多数の投資先に分散投資するファンドです。
投資先から得た収益は、分配金や投資信託の価格である「基準価額」の値上がり益という形で投資家に還元されます。
他の投資信託と同様に、債券ファンドにも特定の指数に連動するように運用される「インデックス型」と指数を上回ることを目指す「アクティブ型」があります。銘柄によって投資する地域や債券の種類などが異なるので、自分に合った債券ファンドを選択しましょう。
個別の債券と債券ファンド投資の違い
個別の債券への投資と債券ファンドへの投資の違いは主に次の4点です。
- 債券ファンドなら、少額から投資ができる
- 債券ファンドなら、分散投資ができる
- 債券ファンドには満期がない
- 債券ファンドなら、少額から投資ができる
債券ファンドは、一般の投資信託の一種なので、ネット証券なら100円程度の少額から購入できます。債券の最低購入額は銘柄によりますが、米ドル建て債券で100ドル~2,000ドルなど、相対的にまとまった資金が必要な銘柄も少なくありません。
債券ファンドは1銘柄で数百~千銘柄以上もの債券に分散投資します。個別の債券を購入するよりも、リスク分散が働くのが特徴です。
一方で、債券ファンドは運用会社が投資銘柄を入れ替えていくため、償還日がありません。債券ファンドを売却しない限りは、運用会社によって投資が継続されます。
また、債券ファンドには一定の価格の変動リスクがあります。
個別の債券の場合は、デフォルト*を引き起こさない限り償還日に決まった金額が返済されるため、償還日まで保有し続ける投資家は価格変動をあまり気にする必要がありませんが、債券ファンドは、銘柄を組み替えながら運用が持続されるため、価格の変動がありますので注意が必要です。ただし、株式ファンドと比べると一般にリスクが低く、価格変動も緩やかです。
(*デフォルトとは、債券の出し手が倒産、経営不振などにより元利金の返済ができなくなること)
個別債券への投資のハードルが高いと感じる方におすすめ
債券ファンドは、個別債券への投資のハードルが高いと感じる方におすすめです。
個別の債券を購入する場合、利回りや発行体のリスク、償還までの残存期間などをもとに、自分で銘柄分析をして投資先を選ぶ必要があります。
楽天証券など一部ネット証券なら投資情報は豊富に掲載されているものの、銘柄選びに手間がかかります。また、投資金額が大きいため一度に多額の資金を用意しなければならないのも、初心者にとってはネックです。
債券ファンドであれば、運用のプロフェッショナルが数ある債券の中から、そのファンドに適した銘柄を選んでくれます。多数の債券に分散投資してくれるため、1つのファンドを銘柄購入するだけでリスク分散が図れます。
また、投資金額が100円程度からと小さいので、少額からコツコツ投資することも可能です。債券ファンドを活用すれば、個別債券よりも手軽に債券投資にチャレンジできます。個別債券への投資に躊躇している方は、まずは債券ファンド投資から始めるのも一案です。
代表的な債券ファンドを3つ紹介
債券ファンドには多数の種類があるので、そのなかから代表的な債券ファンドを3つ紹介します。
eMAXIS Slim先進国債券インデックス
トータルリターン (3年・信託報酬控除後・1月19日時点) | 4.98% |
信託報酬(年率・税込) | 0.154% |
純資産 | 988.77億円 |
投資対象 | 先進国の債券(日本除く) |
日本国内を除く先進国債券へ分散投資するインデックスファンドです。FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)という指数への連動を目指して運用されます。主に先進国各国が発行する「国債」へ分散投資しているのが特徴です。
分配金はこれまでは出しておらず、ファンドが投資した債券から得た収益は基本的に再投資されています。2023年12月末時点のレポートによると、およそファンド資金の46%が米国債に投資されています。また、株式では新興国のイメージが強い中国(投資比率は7.5%)の債券にも投資されています。
為替ヘッジなしのため、各国通貨と日本円の為替変動の影響を受ける点には留意しましょう。
たわらノーロード 国内債券
トータルリターン (3年・信託報酬控除後・1月19日時点) | -1.85% |
信託報酬(年率・税込) | 0.154% |
純資産 | 240.15億円 |
投資対象 | 日本の債券 |
日本の債券へ分散投資するインデックスファンドです。NOMURA-BPI総合という指数への連動を目指して運用されています。NOMURA-BPI総合には、日本が発行する「国債」と日系企業が発行する「社債」などが含まれています。
過去には分配金を出した実績がなく、基本的にファンドの収益は再投資される仕組みです。月次のレポートによると、2023年12月末時点ではファンド資金の77.0%が日本国債に投資されています。その他では社債が10.6%、日本各地の自治体が発行する地方債が8.2%です。日本国内の債券は基本的に円建てで発行されるため、為替変動の影響はありません。
iFree新興国債券インデックス
トータルリターン (3年・信託報酬控除後・1月19日時点) | 8.56% |
信託報酬(年率・税込) | 0.242% |
純資産 | 145.04億円 |
投資対象 | 新興国の債券 |
新興国の債券へ投資するインデックスファンドです。新興国の債券には各新興国の通貨で発行されるものと、米ドルやユーロで発行される債券があります。このファンドは各新興国の通貨で発行される債券へ投資していて、JPモルガン ガバメント・ボンド・インデックス-エマージング・マーケッツ グローバル ダイバーシファイド(円換算)という指数に連動します。
新興国の債券のうち、国債や公共機関が発行する債券へ投資するファンドです。為替ヘッジがかけられていないため、各新興国通貨と日本円の為替変動リスクがある点には留意しましょう。なお、月次レポートによると2023年12月末時点ではメキシコペソの債券(10%)、中国元の債券(9.9%)、ブラジル・レアルの債券(9.9%)などが上位です。
投資先の債券の利回りは平均すると2023年12月末時点で6.6%ですが、ファンド自体は分配金を出していないため、投資先から得た収益はファンド内で再投資されています。
債券ファンドを活用して債券で分散投資をしよう
債券ファンドは、1銘柄買うだけで多数の債券に分散投資できるのが特徴です。個別の債券は投資に必要な最低金額が高い傾向にあるため、個人が分散投資するためには多額の資金が必要になります。
債券ファンドをうまく活用すれば、少額投資でもリスク分散を追求可能です。債券に投資したいが自己資金が限られているという方は、債券ファンドの活用を検討してみましょう。債券ファンドといっても、銘柄によって投資する国・地域や債券の種類が異なります。為替リスクの有無にも違いがあるので、自分に合った債券ファンドを選んで購入しましょう。
2024年1月30日時点の情報をもとに記事を作成しています。