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23楽天証券の取扱い米国債・社債の情報の見方

UPDATE 2024.02.20

はじめに
楽天証券では、「債券マルシェ」で米国債券を中心に外国債券を多数取り扱っています。
今回の記事では、債券マルシェで取り扱う商品を例に出しながら、債券情報の見方を紹介します。

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通貨と発行体について

まず、大まかに債券の分類を考えるときには①通貨と②発行体に目を向けましょう。発行体とは債券を発行して資金を借り入れる企業や国、公共団体などの総称です。

通貨について

世界各国のさまざまな通貨で債券は発行されていますが、2023年12月現在では、債券マルシェの銘柄の大半は米ドル建てとなっていて、一部ユーロ建てで発行されています。債券の発行通貨は、債券マルシェの検索画面で国旗と共に掲載されるため一目瞭然です。

米ドル建て債券例

ちなみに、本来は債券を購入するときにはその発行通貨を用意する必要がありますが、楽天証券の場合は、楽天証券内で為替交換してくれるため、円しか保有していない状態でも購入できます。

発行体について

続いて、発行体についてですが、発行体には大きく分けて「国」と「企業」があります。たとえば、米ドル建てで米国自体が発行体となる「米国債」があります。

米国債の例

国債は信用力が高く、特に米国債はムーディーズにおいて「Aaa」と言う最も信用力の高い「格付け」を取得しています。一方で、企業が発行する「社債」もあります。こちらは企業の財務状況や収益の安定性によって信用力が大きく異なります。

米社債の例

銘柄名について

続いては、債券情報の見方について順番にみていきましょう。債券マルシェでは、ほとんどの基本情報を商品一覧の画面で見ることができるのが特徴的ですね。
商品一覧には、上図のような見た目で銘柄が並びます。債券では、銘柄名と発行体名がイコールではないので注意しましょう。上図では「スターバックス 米ドル建債券 4.5% 2048/11/15」が銘柄名にあたり、利率や償還日なども併記されます。一方で発行体名は「スターバックス」です。一つの発行体が多数の債券を発行するケースも珍しくないため、このような構造となっています。

利率と買付単位

続いて「利率」とは、額面に対して支払われる金利の割合です。なお、債券では定期的に受取れる金利収入のことを「クーポン」といいます。額面は債券の基本単位で、この画面には表示されませんが100ドルや1,000ドルなど区切りのよい値で設定されます。

ちなみにこの例の債券の額面は1,000ドルです。上記の債券を1,000ドル購入すれば、年間45ドルのクーポンが受け取れます。

しかし注意したいのは、上記の債券は実際には1,000ドル単位で購入できない点です。利率の隣にある「買付単位」が設定されているからです。この銘柄の場合は2,000ドル以上、2,000ドル単位でしか購入できません。

このように額面≠買付単位でないケースが多いので注意しましょう。なお、さらに話が複雑になりますが、2,000ドル分の債券=2,000ドルで購入するとは限りません。この点は次の買付単価のところで説明します。

買付単価・参考利回り

買付単価とは、額面通りの購入額=100%として、額面の何%で購入できるかを表しています。上図の例でいえば、以下の金額で最低単位である2,000ドルの債券を購入できます。

(購入する債券の額面)×(買付単価)=(実際の購入価格)
▶2,000ドル × 92.6000% = 1,852.0ドル

債券は、クーポンの支払いや返済が滞る「デフォルト」が発生しない限り、償還日に額面の金額で返済されます。すなわち、上図の債券を最低の購入単位で買った場合、償還日には2,000ドルを得られます。

購入時に1,852.0ドルを払って償還時には2,000ドル得られるため、返済時に受け取れる金額の方が多くなります。この差は債券における価格収益(キャピタル・ゲイン)となります。

債券の投資収益は、保有中に得られるクーポンによる金利収入と価格損益の合計で構成されるのが特徴です。そして、価格損益まで加味した投資元本対比の収益率は「利回り」で表されます。債券の収益性をよく表しているのは「利回り」なので、利率と混同しないように注意しましょう。

上図の債券では参考利回りが5.02%で、利率より高水準です。利率が途中で変わるなど特殊な商品性の債券でない限り、買付単価が100%未満のときは参考利回り>利率となります。

楽天証券では、参考利回りは「購入した後償還まで保有し続け、予定通り返済された場合」の利回りを意味します。購入価格と償還時の元本金額の差が、利回りの計算において加味されているのです。そのため、途中で売却した場合には、実際の利回りは表示されている水準とは異なるため注意しましょう。

償還日・残存期間・利払い日

債券の「償還」とは、発行体が投資家に資金を返済することをさします。一般的な債券では、償還日に額面の金額が返済されます。たとえば、上図の債券を最小の買付単価で購入した場合は、2,000ドルが返済されるといった具合です。

残存期間とは、購入時点から償還日までの期間の長さです。債券は上場していないため、株式のようには気軽に売却できないため、残存期間が長い債券を購入するときには注意しましょう。

また、利払い日は「利率」に表示されたクーポンが支払われる頻度と時期が書いています。上図のスターバックスの債券の場合は、年2回(5月15日、11月15日)です。全般として年2回、およそ半年ペースでクーポンが払われる債券が多いです。

利率は「年間の収益率」なので、年2回利払いの銘柄ならば、一回の利払い日で支払われるクーポンは、記載された利率の半分ということになります。

格付け

格付けとは、格付け機関という発行体の健全性を評価する機関が公表するアルファベットなどの記号です。海外の債券ではMoody’sやS&Pといった格付け機関が大手で、債券マルシェでも両社の格付けを記載しています。

格付けの記号はA~Dまであり、同じアルファベットなら数が多い方が信用力が高いといえます。つまり、Moody’sでAaa、S&PでAAAが最高で、最低はDです。

格付けが高い銘柄の方が健全で、市場環境や景気が悪化しても債務不履行が発生する可能性が低くなります。なお、一つの基準として、BBB以上の格付けの債券を「投資適格債券」と呼び、相対的にリスクの低い債券群となっています。それ以下の債券は「ハイ・イールド債」です。2023年12月時点では、債券マルシェで購入できる債券の大半は投資適格債券です。

債券マルシェで債券投資を始めてみよう

債券はほとんどが取引所で売買ができず、これまで個人にとっては売買しにくい商品でした。しかし、楽天証券が債券マルシェを始めたため、以前より気軽に債券売買ができるようになっています。

債券は株式と比較してリスクが低い傾向にあるため、安定運用をしていきたい方にとっては有効な投資の選択肢の一つです。今回紹介した債券のさまざまな情報を踏まえて、自分に合った銘柄を選んで債券投資にチャレンジしてみるのも良いでしょう。
2024年2月20日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。
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