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- はじめに
亡くなった親の株式の探し方や、分割の方法など分からない方は多いはずです。株式を確認する方法や相続する流れ、注意点を解説します。
株式を相続できる人とは?
株式を相続できる人は、法律で定められた法定相続人です。法定相続人は、被相続人(亡くなった方)との関係性によって、以下の図のように決められています。

被相続人の配偶者は、常に法定相続人です。配偶者以外の法定相続人は、図のように相続の優先順位が決められています。
第2順位以降の親族は、前の順位がいない場合に法定相続人になります。
たとえば、第2順位の被相続人の父母が法定相続人になるケースは、第1順位の子や孫がいない場合です。
法定相続人には、内縁の妻や離婚した元配偶者は含まれません。
一方で、養子や離婚して元配偶者に親権がある子どもは、法定相続人になります。法定相続人とみなされる養子の人数は、実子がいる場合1人、いない場合2人までです。
しかし、親が遺言書を作成している場合、亡くなった方の意思が尊重されるため、法定相続人以外の方が遺産を受け継ぐケースがあります。
株式を確認する方法
遺産の株式を確認する方法は、上場しているかどうかで異なります。ここからは、上場株式と非上場株式の確認方法の違いについて解説します。
上場株式の場合
上場株式を保有していた場合、親が口座を持っていた証券会社に問い合わせましょう。証券会社は、取引残高報告書や口座開設時の控えなどを使って確認します。
親の口座開設している証券会社が分からない場合、預金がある信託銀行で上場株式を保有している可能性があります。
証券会社や信託銀行が特定できない場合は、証券保管振替機構(保振:ほふり)に開示請求を行ってください。保振とは、証券会社を通して購入された証券を保管する組織です。
保振の開示請求のやり方は、以下の記事でご確認ください。
非上場株式の場合
証券会社に問い合わせても見つからない場合、親が持っていた株式は非上場の可能性があります。非上場株式は証券会社や信託銀行で取り扱っていないため、金融機関に問い合わせても見つかりません。
非上場株式の場合、株主総会の招集通知や確定申告書から株を発行している会社を調べます。書類が見つかったら、発行元の会社に親が株式を保有しているかどうかを問い合わせてください。
非上場株式を所有しているケースは、亡くなった人が会社を経営している場合や、親族と共同で会社を経営していた場合などです。非上場株式を保有している場合、親は「株に投資している」ではなく「会社に出資している」との表現をしていることがあります。
株式を相続する流れ
上場株式は、以下の流れで相続します。
- STEP 1
株式を相続する人を決める
- STEP 2
親と同じ証券会社の口座を開設する
- STEP 3
証券会社で手続きをする
それぞれの流れを解説します。
株式を相続する人を決める
遺言がない場合や、遺言に株式を相続する親族が指定されていない場合、以下のどちらかの方法で、株式を相続する人と相続する割合を決定します。
- 法定相続分で分ける
- 遺産分割協議をする
法定相続分とは、法定相続人ごとに遺産を受け継ぐ割合です。法定相続分の割合は、民法によって以下のように定められています。

子どもが2人いるといった同じ順位内に複数人いる場合の法定相続分は、その順位の人数で割って求めます。たとえば、法定相続人が配偶者と子ども3人の場合の法定相続分は、次の通りです。
- 配偶者:1/2
- 子ども:1/6(1/2÷3)
遺産分割協議では、相続人同士で話し合いがまとまれば、法定相続分以外で相続できます。協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成しましょう。
親と同じ証券会社の口座を開設する
親と同じ証券会社の口座を保有していない場合は、開設する必要があります。
株式を売却する予定であっても、同じ証券会社の口座を開設して証券を移管しなければ、相続の手続きを進められません。
口座開設をするタイミングは、親の口座から証券を移管するタイミングです。親の口座の移管手続きの書類を作成すると同時に、ご自身の口座を開設します。
相続手続きは、書類を郵送して進めるケースが一般的です。
親の亡くなったことを証券会社に伝えるときに、証券会社に口座を保有していないことを話してください。証券会社の担当者に話をすれば、相続手続きの書類と相続人の口座開設の書類を一緒に送られてきます。
証券会社で手続きをする
証券会社に必要書類を提出し、被相続人の口座から、相続人の口座へ株式を移管します。
証券会社に提出する書類は、以下の通りです。
- 戸籍謄本または法定相続情報一覧図
- 印鑑証明書
法定相続情報一覧図とは、戸籍謄本の記載に基づいて判明した法定相続人を家系図のようにまとめた書類です。
遺産分割協議を行った場合は遺産分割協議書、遺言書に基づく相続の場合は遺言書が必要です。また、遺言書が自筆で書かれた自筆証書遺言の場合、検認調書も提出します。
検認調書とは、家庭裁判所が遺言書の内容を確認して、偽造を防止する書類です。証券会社にもよりますが、書類の提出から株式の移管まで1~2ヶ月前後の時間がかかります。株式の移管が完了すると、換金できます。
株式を相続するときの注意点
株式を相続するときは、以下のポイントに気を付けましょう。
- 注意点1
未払配当金を受け取る手続きをする
- 注意点2
期限がある手続きをする場合は早めに動き出す
それぞれの注意点を解説します。
注意点1配当金を受け取る手続きをする
被相続人が亡くなった後も配当金は支払われます。
移管の手続きをするときに、未払配当金の払い戻しの手続きをしましょう。相続の手続き書類のなかに、未払配当金の払い戻しに関する書類が封入されています。
または、移管手続きの書類に「未払配当金があれば払い戻す」のチェックボックスを設けられているため、チェックを入れましょう。
未払配当金の払い戻しまでにかかる期間は、手続きを行ってから2~3ヶ月程度かかります。配当金を受け取るタイミングは、株式発行元の会社ごとに異なります。
注意点2期限がある手続きをする場合は早めに動き出す
準確定申告や相続税申告などが控えている場合、証券会社の手続きに時間がかかるため、早めに動き出しましょう。
準確定申告とは、被相続人の確定申告の手続きです。被相続人に株式や不動産収入などのまとまった収入があった場合、相続の開始があったと知った日の翌日から、4ヶ月以内に手続きをしなければなりません。
相続税申告は、基礎控除を超える遺産を相続する場合に必要な手続きです。基礎控除の金額は、以下の計算式で求めます。
基礎控除の金額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数
相続の開始があったと知った日の翌日から、10ヶ月以内に手続きをしなければなりません。相続税の計算は、不動産や株式の評価額の計算など専門的な知識が必要不可欠です。親の遺産が基礎控除を超えているのか判断がつかない場合は、税理士に相談しましょう。
まとめ
株式の相続の手続きには時間がかかるため、他の手続きとの兼ね合いを考えて早めに動き出す必要があります。将来に備えて、相続後の手続きを確認しましょう。
2024年2月20日時点の情報をもとに記事を作成しています。