UPDATE 2019.8.19
投資のソムリエは、アセットマネジメントOneが運用するバランス型ファンドです。世界8資産に分散投資されており、機動的に配分比率を変更する点が特徴です。
純資産残高は、2019年8月時点で1,300億円を突破しており、規模の大きい投資信託になります。
世界8資産に分散投資するバランス型ファンド
投資哲学は「大きく負けないこと」
大きく負けないために機動的に配分を変更
バランス型ファンドとは、一種類の投資対象ではなく、投資地域(国内・先進国・新興国)や資産クラス(株式・債券・不動産など)を分散して投資する投資信託。株式だけに投資する投資信託よりも、一般的に値動きがゆるやかになります。
投資のソムリエは、債券(国内・為替ヘッジ先進国・新興国)、株式(国内・先進国・新興国)、不動産(国内・先進国)の8資産に分散投資しています。このうち、国内債券と為替ヘッジ先進国債券の2つが、値動きの安定した「安定資産」になりますが、2019年7月時点では安定資産がポートフォリオの5割強を占めています。
投資のソムリエの投資哲学は「大きく負けないこと」。
そのために徹底した配分戦略のもと、リスクコントロールが行われています。基準価額の変動リスクは年率4%程度に抑えながら、安定的な基準価額の上昇を目指しているファンドです。
「大きく負けない」という保守的な運用方針であるため、大きなリターンを狙うことはできませんが、リスクを控えめにしたい方や、近い将来、現金が必要になる可能性のある方などに向いています。
投資のソムリエの具体的な運用においては、価格変動要因の分析により、安定資産・リスク性資産の配分比率が毎月更新されます。
さらに、相場環境を日々判定し、下落の危険性が高まったと判定した場合は、組入資産を安定資産や現金等へ入れ替えることで基準価額の下落の抑制をするといった運用が行われています。
機動的な配分変更について、さらに詳しく説明します。
投資のソムリエでは、月次で各資産への配分比率を決定する基本配分戦略と、急激な市場変動などの緊急時に日次で機動的に配分を変更する機動的配分戦略、この2つの戦略により基準価額の大きな下落を回避する対策がとられています。
投資のソムリエの月次での基本配分戦略では、金利や為替などの変動要因に対して、特定の変動要因に偏らないように資産の入れ替えが行われます。変動要因の比率を均等にすることで、もっとも分散効果が期待できる資産配分比率が決定されます。
日次の機動的配分戦略では、相場の急変など、急激な投資環境の変化に対する対応がとられます。急激な市場の下落などの緊急時には、株式や不動産(リート)などのリスク性資産を安定資産である債券や、市場の影響をほとんど受けない現金等に即時的に切り替えることで、大幅な値下がりを回避することが可能になっています。
投資のソムリエの目論見書には、「安定資産、リスク性資産の下落の危険性が最も高まった場合は、速やかにリスク性資産をすべて売却し、(月次で決定する)基本配分比率の8資産の合計額のうち半分を現金等に入れ替える」と記載されており、かなり高い割合で現金等を持つことができる設定になっています。
2019年1月1日時点での投資のソムリエの資産配分は、為替ヘッジ先進国債券の割合が5割近くと高くなっています。現金等の比率が約4分の1であり、リスク性資産の割合は、2割強に抑えられています。
2019年7月のタイミングでは現金等の比率が2%、リスク性資産が4割強になっていることから、2019年1月の相場急落局面において、リスク性資産を減らし、現金等の比率を高めていたことがわかります。
安定資産 | 国内債券 | 5.3% |
---|---|---|
為替ヘッジ先進国債券 | 46.4% | |
リスク性資産 | 新興国債券 | 7.5% |
国内株式 | 4.5% | |
先進国株式 | 1.9% | |
新興国株式 | 1.1% | |
国内リート | 2.5% | |
先進国リート | 5.2% | |
現金等 | 25.6% |
※2019年1月1日時点
投資のソムリエの運用報告書を見ると、「リスク性資産が下落するリスクが高まったと判断した2018年10月以降、断続的に安定資産への配分を高めました。また、安定資産が下落するリスクが高まったと判断した8月、9月から10月および12月以降において、現金等への配分を高めました。」と記載されています。
檜原 史一氏
2008年1月に同社の前身であるDIAMアセットマネジメントに入社、2011年からはクオンツ運用に携わり、運用・調査経験は7年。
運用担当者:10名
運⽤経験:10名のうち3名が15年超
投資のソムリエは、基準価額の変動リスクは年率4%程度に抑えると目標設定されているファンドですが、実際に騰落率は低めで、安定した値動きがキープされています。
ただしその分、トータルリターンも低めとなっています。
期間 | 騰落率 | トータルリターン |
---|---|---|
6ヶ月 | +4.36% | +5.27% |
1年 | +5.08% | +5.25% |
3年 | +5.45% | +2.26% |
5年 | +11.02% | +2.60% |
10年 | – | – |
設定来(2012/10/26) | +18.75% | +21.67% |
※基準日:2019/8/15
※騰落率:その期間中、どの程度変化したかを示す。数字が大きいほど変動幅が大きい。
※トータルリターン:値上がり益に分配金を加えた収益率。「設定来」以外は年率で示す。
種別 | 費用 | 備考 |
---|---|---|
信託報酬 | 1.512% | |
実質コスト | 1.549% | 第13期、第14期の運用報告書より |
購入時手数料 | 上限3.24% | 主要ネット証券は無料 |
信託財産留保額 | なし |
投資のソムリエは、「ファミリーファンド方式」で運用が行われており、資産クラス別に8つのマザーファンドへの投資を通じて実質的な投資を行っています。
「ファミリーファンド方式」とは、複数のファンドを合同運用する仕組みで、投資者からの資金をまとめて、その資金の全部または一部をマザーファンドに投資して、実質的な運用をマザーファンドで行う仕組みです。
運用会社 | アセットマネジメントOne |
---|---|
設定日 | 2012年10月26日 |
純資産総額 | 1350.03 億円(2019/8/15時点) |
目論見書・運用報告書 | |
ファンド運用方式 | ファミリーファンド方式 |
投資対象 | 8資産 |
為替ヘッジ | あり(一部ヘッジ) |
つみたてNISA対象 | |
iDeCo取り扱い |
(楽天証券、岡三証券、みずほ銀行など) ※投資のソムリエ<DC年金>
|
主要ネット証券での取り扱い |
SBI証券:○ 楽天証券:○ 松井証券:○ マネックス証券:○ auカブコム証券:○ |
投資のソムリエの特徴として「あらかじめリスク・リターンの目標値を掲げて運用を行うという点」を挙げ、「2018年秋以降、世界の株式市場が大きく調整した中でも、投資のソムリエは、目標リスク水準の4%を下回ることなく運用が行われていた」と、リスクコントロールの精度の高さを評価しています。
モーニングスターアワードは、投信評価会社のモーニングスター社が、1年間の運用実績と、運用プロセスなどの定性評価をもとに優秀ファンドを選出しています。投資のソムリエは、世界的な株価急落局面での資産配分変更の対応によりリターンが良好だった点や、過去5年間での基準価額のぶれ幅の小ささといった点が評価されています。
投資のソムリエは、2019年5月に発表された「R&Iファンド大賞2019」バランス比率変動部門で優秀賞を受賞。 R&Iファンド大賞は、投資哲学などの定性評価を含めず過去の運用成績という定量評価のみのアワードです。受賞は、バランス型ファンドとして安定したパフォーマンスを上げていることを証明しています。
投資のソムリエは、「大きく負けないこと」を投資哲学としたバランスファンドで、そのリスクコントロール力は対外的にも評価されています。ただし、大きく減るリスクが少ない分、高いリターンは期待できないという特性があります。
その特性を理解し、減らしたくない資産の投資先として検討するのがよいでしょう。
投資のソムリエは、楽天証券やSBI証券で積立購入できます。楽天証券ではiDeCo(イデコ)での取り扱い(投資のソムリエ<DC年金>)もありますよ。
2019年8月16日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。