UPDATE 2020.10.5
LINE証券、ネオモバは、ともに投資初心者を主なターゲットとして、2019年にスタートしたスマホ証券です。
LINE証券は、LINE Financial株式会社と、野村証券の持株会社である野村ホールディングス株式会社、ネオモバは株式会社SBI証券とTカード陣営のCCCマーケティング株式会社が、それぞれタッグを組んでいます。
LINE証券 | ネオモバ | |
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設立経緯 |
LINE Financial株式会社と野村ホールディングス株式会社により共同設立 |
株式会社SBI証券とCCCマーケティング株式会社により共同設立 |
サービス開始 |
2019年8月 |
2019年4月 |
LINE証券、ネオモバともに、「1株から株式が買える」「ポイントで株式が買える」という気軽さを訴求しており、サービスのアウトラインは共通しています。
そのため、どちらで始めようかと迷ってしまう方も多いかもしれません。
次の項からは、手数料や商品、ポイントなど、各テーマごとに細かく、LINE証券とネオモバを比較していきます。
まず、メイン商品である1株から株式が買えるサービス(単元未満株取引)から比較しましょう。
LINE証券 | ネオモバ | |
---|---|---|
サービス概要 |
1株から国内株式が買える |
1株から国内株式が買える |
取扱銘柄数 |
約1,000銘柄 |
約3,700銘柄 |
取引方法 |
相対取引(LINE証券との取引) |
市場取引(ネオモバが1日3回まとめて市場に発注して約定) |
取引時間 |
日中:9:00~14:50(※) |
取引時間はない |
※11:20~11:30、12:20~12:30を除く
LINE証券もネオモバも、国内株式を1株から買える点は同じです。どちらも、銘柄によっては数百円から買うことができます。
通常、国内株式の取引は100株単位です。そのため、1株1,000円の銘柄だったとしても、1,000円×100=10万円の株を一度に買わなければなりません。
それに対して、LINE証券やネオモバでは、1株から株式を買うことができる単元未満株取引ができるため、少額から株式投資を始められます。
取扱銘柄数とは、何種類の株式を取引できるかということ。LINE証券とネオモバでは、取扱銘柄数は大きく違います。
LINE証券では約1,000銘柄であるのに対して、ネオモバは約3,700銘柄で、東京証券取引所に上場しているほぼすべての銘柄を売買できます。
比べてしまうとLINE証券はかなり少なく感じてしまうかもしれませんが、約1,000銘柄ですから、少なくはありません。投資初心者の方には充分な銘柄数であるとも言えますね。
LINE証券では、2020年10月に取扱銘柄数が約300銘柄から約1,000銘柄に増えました。今後も銘柄数の追加があるかもしれません。
1株から国内株式を買えるという点は同じなのですが、LINE証券とネオモバの取引方法には違いがあります。
説明に入る前に、ひとつ用語の説明をしておきます。
株式取引では「約定(やくじょう)」という用語がよく使われますが、これは取引が成立することをいいます。「XX円で約定した」「約定代金はXX円だった」などと使われます。
一般的に、1株単位の単元未満株取引は、そのときの株価で約定するリアルタイム取引ではなく、1日に2~3回約定する仕組みになります。注文してから約定するまでに半日程度のタイムラグがあります。
ネオモバでは、平日、発注タイミングにより1日3回約定します。
例えば、ネオモバで平日の午前9時に発注した場合、当日の後場(午後の取引)の始値(はじまりね)で約定します。わかりやすく言えば、ネオモバでは予約注文するかたちになります。
そのため、注文した時点では、いくらで約定するかはわからないというデメリットがあります。
その反面、365日24時間いつでも注文できるという点はメリットになります。
一方のLINE証券は、相対取引(あいたいとりひき)と言って、LINE証券と利用者が取引する仕組みになります。LINE証券の基準価格(市場の株価と近似値)をベースとして利用者と売買する方法をとっており、注文すると即約定するという点が大きな特徴です。
LINE証券では、1株単位の取引でも株価の動きを見ながら発注することができ、”株を取引する感覚”が味わえます。この点は、LINE証券のメリットと言えますね。
LINE証券の相対取引にもデメリットがあります。取引時間内しか注文を出せないということです。その分、LINE証券では、夜間(17時~21時)取引もできるようになっています。
次に、気になる手数料を比較します。結論から言いますと、どちらも安いです。
LINE証券 | ネオモバ | |
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手数料体系 |
取引手数料は無料 |
月額制のサービス利用料 |
手数料(取引コスト・税込) |
9:00~11:20、12:30~14:50:株価(LINE証券の基準価格)×0.2%~0.4% ※銘柄によって異なる |
約定代金50万円まで:220円 |
LINE証券とネオモバでは、手数料体系が大きく異なります。そのため、とても比較しにくいのですが、まずはそれぞれの手数料についてご説明しましょう。
LINE証券では、取引手数料無料と記載されていますが、取引コスト(スプレッド)として上記の料金がかかります。
買う時には取引コスト分が株価(LINE証券の基準価格)に上乗せされた金額が提示され、売る時には取引コスト分が差し引かれた金額が提示されます。
LINE証券の単元未満株取引は、時間帯と銘柄により、この取引コストが異なります。2020年10月に取引コストが改定され、これまでよりもやや複雑になっていますので注意しましょう。
日中のうち9:00~11:20、12:30~14:50なら、取引コストは0.2%~0.4%。銘柄がA、B、Cの3グループに分類されており、Aなら0.2%、Bなら0.3%、Cなら0.4%と銘柄によって異なります。グループは、各銘柄詳細などに記載されています。LINE証券の基準価格が1万円だった場合、グループAの銘柄なら取引コストは20円です。
また、夜間及び11:30~12:20では、1%と日中よりも高い取引コストがかかります。LINE証券の基準価格が1万円の場合で100円になります。
単元未満株取引では、約定代金×0.5%の手数料が一般的なので、LINE証券では、日中取引(9:00~11:20、12:30~14:50)であれば、割安の手数料で取引できますね。
ネオモバの手数料は月額制です。1ヶ月の約定代金の合計に対してサービス利用料がかかります。
月間の約定代金が50万円までなら、取引回数にかかわらずサービス利用料は220円(税込)。
しかも、利用料を支払うと毎月期間固定Tポイントが200ポイント付与されますので、月50万円までの取引なら実質的な出費は消費税分の20円だけになります。
ネオモバでは、1株単位の単元未満株式の他、100株単位の取引も同じ手数料体系となります。両者を合わせて月間の取引が50万円以内であれば、実質20円です。
注意点は、ネオモバのサービス利用料は、まったく取引がない月でもかかる点です。
また、付与される期間限定Tポイントは、ネオモバでの投資にのみ利用できるポイントです。付与された翌月末が有効期限となりますので、使い忘れないように注意しましょう。
なお、ネオモバでは、手数料の支払いはクレジットカード一択となります。クレジットカードを登録しないと取引できません。
LINE証券、ネオモバの取引手数料についてまとめますと、次のようになります。
損益分岐点は月間取引額1万円ですが、大きなコスト差はありません。
例えば、月5,000円の単元未満株(LINE証券分類のグループA)を取引した場合、LINE証券の取引コスト(日中:9:00~11:20、12:30~14:50)は10円です。
ネオモバでは、定額制のため実質20円(税込で月額220円支払い、期間限定Tポイントが200ポイント付与)となり、LINE証券の方が10円おトクです。
例えば、月5万円の単元未満株を取引した場合、ネオモバの取引手数料は実質20円(税込で月額220円支払い、期間限定Tポイントが200ポイント付与)、LINE証券の取引コスト(日中:9:00~11:20、12:30~14:50)は100円(LINE証券分類のグループAの場合)です。
上記の金額をご覧いただければわかる通り、取引手数料(取引コスト)の差は大きくはありません。
また、100株単位の株式取引もする場合はまた状況が違ってきます。
1ヶ月合計で1万円に満たないような少額取引であれば、LINE証券(日中:9:00~11:20、12:30~14:50)の方が少しおトクだと覚えておいてください。LINE証券の夜間取引や市場の昼休み時間帯(11:30~12:20)だと、取引コストが高くなりますのでご注意くださいね。
各種ポイントを投資に使えるサービスが増えていますが、LINE証券、ネオモバでもポイントを投資に利用できます。
LINE証券ではLINEポイント、ネオモバではTポイントが投資に利用できます。どちらも1ポイント=1円で差はありません。
なお、LINE証券、ネオモバともに、投資することによってポイントが貯まるサービスはありません。
手数料の説明の中で、ネオモバでは期間限定Tポイントが付与されると説明しましたが、そのポイントはTポイント連携していなくても付与されます。
証券会社で取引するのは、通常、資金を銀行口座などから入金する必要があります。
その入金の方法は、LINE証券、ネオモバで違いがあります。
LINE証券 | ネオモバ | |
---|---|---|
即時入金:提携先銀行 ※手数料無料 |
ゆうちょ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、住信SBIネット銀行、楽天銀行、PayPay銀行 |
住信SBIネット銀行のみ |
通常振込入金:入金先銀行
※手数料利用者負担 |
PayPay銀行 |
みずほ銀行 |
その他 |
LINE Pay(LINE Pay残高、登録銀行口座) |
なし |
入金については、LINE証券の方が優位です。
LINE証券では、銀行口座の他、LINE Payからの入金ができる点が大きな特徴です。LINE Payを利用していれば、チャージ感覚でLINE証券への入金ができます。LINE Pay残高がなくても、LINE Payに登録している銀行口座からLINE Pay経由で直接入金できるので便利です。
また、LINEポイントを利用する際には、LINE Pay経由で入金するかたちになります。
即時入金といって、手数料無料で手続き後すぐに入金を反映するサービスはLINE証券、ネオモバともにありますが、提携先はLINE証券の方が多くなっています。
即時入金の提携先銀行に口座がない場合は、ネットバンキングやATMなどからの振込が利用できます。こちらは手数料が利用者負担となりますのでご注意ください。
また、ネオモバの手数料はクレジットカード払いですが、投資資金のクレジットカード払いはできません。
※LINE Payから入金するには、LINE Payでの本人確認(本人確認書類、もしくは銀行口座)が必要です。
出金というのは、株式を売却した際などに、資金を登録している銀行口座に移すことを言います。
出金方法は、LINE証券、ネオモバで少し違いがあります。
LINE証券では、LINE Payへの出金であれば出金手数料が無料ですが、登録銀行口座の場合は220円(税込)の手数料がかかります。
ネオモバは、登録銀行口座への出金に手数料はかかりません。
LINE証券、ネオモバともに、1株から株式が買えることが強調されていますが、その他にも取引できる商品がいくつかあります。
LINE証券 | ネオモバ | |
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単元未満株取引(1株からの取引) |
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単元未満株の定期買付 |
※アプリからのみ注文可 |
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現物取引(100株単位の取引) |
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IPO(新規公開株式) |
※アプリからのみ注文可 |
|
投資信託・投信積立 |
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信用取引(資金以上の取引) |
||
NISA・つみたてNISA |
取引できる商品は、意外と差があります。
この中で特筆すべきは、ネオモバの「単元未満株の定期買付」とLINE証券の「投資信託」です。
ネオモバの「単元未満株の定期買付」は、毎月指定日に指定金額で買付けできるサービス。言い換えれば、単元未満株の積立です。ネオモバ株アプリからのみ、利用できます。
このサービスを使えば、好きな銘柄を少額ずつ自動で買付できますね。
LINE証券では「投資信託」を100円から買うことができます。取扱銘柄数は28銘柄と限られますが、投資信託は投資初心者の方でも始めやすい商品。LINE証券では、毎月1,000円からの投信積立サービスもあります。
また、LINE証券、ネオモバでは、税制優遇制度であるNISAやつみたてNISAが利用できません。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAやつみたてNISAはこの税金がかからないおトクな制度ですから、できれば活用したいところです。
LINE証券では、つみたてNISAについて”準備を進める”という方針が出されていますので、今後の展開に注目しましょう。
証券会社の株式の個別銘柄ページには、その銘柄に関する情報が掲載されていますが、LINE証券とネオモバでは、掲載されている情報量に差があります。LINE証券の方が情報量が多く、ネオモバでは少ないという状況です。
ネオモバで掲載されている情報は「現在値・チャート(株価推移)」「配当利回り・予想配当金」「株主優待情報」程度。企業情報や業績などを確認したくても、それらを確認するためのリンクも掲載されていません。
一方、LINE証券では、ネオモバでの掲載情報に加えて、業績やアナリスト評価、決済ビジュアルレポート、関連ニュースなども掲載されています。しかも、デザインやレイアウトが秀逸で、非常に見やすくまとめられています。
LINE証券、ネオモバともに、スマートフォンでの取引に特化したスマホ証券。そのため、どちらもスマホで取引しやすい画面設計となっています。
どちらも取引しやすいのですが、とりわけLINE証券では直感的に操作しやすい取引画面となっています。
LINE証券 | ネオモバ | |
---|---|---|
取引アプリ |
LINEアプリ |
ネオモバ株アプリ |
取引アプリの特徴 |
・新たなアプリのダウンロードやログインパスワードの管理が不要 |
・単元未満株取引で「この株を買う」ボタンを押すとスマホサイトへ遷移してしまい、アプリで取引を完結できない(定期買付除く) |
スマホサイト | ||
PCサイト |
LINE証券、ネオモバとも「LINEアプリ」と「スマホサイト」で取引ができます。PCでも取引できますが、画面はスマホサイトと同じでPCに最適化されてはいません。
また、ネオモバでは、アプリでしか取引できない商品がありますので注意しましょう。
LINE証券には、手数料や取引方法などの詳細情報をわかりやすく解説しているサービスサイトがありません。
LINE証券公式のnoteはありますが、PR記事が多いため、サービス単位での情報収集はしにくいでしょう。
LINE証券のWebサイトやアプリ内にある「取引ルール」の中に、手数料などの説明はありますが、こちらは詳細情報すぎて、理解するのに時間がかかります。
ネオモバは、月額制のサービス利用料に関する注意点をまとめておきます。
また、手数料無料の即時入金は、住信SBIネット銀行しか利用できません。
LINE証券、ネオモバともに手数料が安く、操作性も良いスマホ証券です。違いはいろいろありますが、LINE Payを利用している方なら、LINE証券の方が使いやすいでしょう。株を取引している感覚も味わえます。住信SBIネット銀行に口座があるなら、ネオモバも良いですね。ネオモバは1株からの定期買付ができます。
どちらもデメリットは少ないですので、両方使ってみて、相性の良い方に絞るという方法でも良いでしょう。
2020年10月5日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。