UPDATE 2023.1.19
まず、ロボアドバイザーについて、少し詳しくご説明します。
ロボアドバイザーには2つのタイプがあります。
商品提案などで商品選びをサポートしてくれる「アドバイス型」と、商品選びから運用まですべてお任せできる「投資一任型」です。
アドバイス型のロボアドバイザーは、いくつかの簡単な質問に答えると回答に沿った商品を提案してくれます。
投資初心者の方でも答えやすい質問が用意されていますし、無料ですので気軽に利用できるツールです。
ただし、提案された複数の商品の中からさらに自分で選ぶ必要があったり、購入後の運用は自分で行う必要があるなど、投資に関するある程度の知識や判断力が必要です。
投資一任型のロボアドバイザーは、商品(運用プラン)の提案だけではなく、実際の運用(商品の配分調整など)まですべて一任できます。始め方も簡単で、アドバイス型と同様にいくつかの質問に答えるだけです。
運用まで行ってくれるためその分の利用料がかかりますが、自分で運用することに不安がある方は、投資一任型のロボアドバイザーの方が気軽に始められるでしょう。
ネット証券が提供しているアドバイス型のロボアドバイザーは、SBI証券の「SBI-ファンドロボ」、楽天証券の「らくらく投資」、松井証券の「投信工房」などがあります。
ポートフォリオ
※自動リバランス機能あり
ポートフォリオ
(投資顧問契約)
SBI証券のSBI-ファンドロボと岡三オンライン証券の投信ロボは、銘柄選びのサポートに特化したかたちとなっており、ユーザーの志向に応じた商品を検索する機能といった位置付けのサービスです。
また、楽天証券のらくらく投資で提案されるのは1本の専用バランスファンド。その1本を購入・運用するというシンプルな内容であり、バランスファンドは各資産への配分比率を自動で調整してくれるため、運用のハードルも低めです。
一方で、松井証券の投信工房は機能が充実しています。投信工房はアドバイス型ながら、自動リバランス機能という運用をサポートする機能が利用できます。この機能を使えば、任意のタイミングで自動的にリバランス(商品の比率を運用プランに合わせて調整すること)してくれますので、投資一任型に近いかたちでの運用が可能です。年に1回など定期的にリバランスすることで、初心者でも適切な運用を目指せます。
投信工房は、PC・スマホサイトだけではなくスマホアプリも用意されており、スマホで利用しやすいというメリットもあります。
また、マネックス証券のマネックスアドバイザーも高機能。ポートフォリオ提案の他、積立時のリバランス機能、リバランスアラート機能があります。
ただし、利用料として年率0.33%かかってしまう点、NISAやつみたてNISAが利用できない点が他のアドバイス型ロボアドバイザーに対するデメリットになります。
なお、いずれのロボアドバイザーでも商品ごとの運用コスト(信託報酬など)がかかる点を覚えておきましょう。
次に、投資一任型のロボアドバイザーについて見ていきましょう。
ネット証券では、SBI証券の「SBIラップ」、楽天証券の「楽ラップ」、マネックス証券の「ON COMPASS」などがあります。
年率0.955%(税込)
投資一任手数料 年0.66% + 実質的な信託報酬の合計(平均) 年0.295%
相場状況に合わせてポートフォリオが変動
年率0.9852%(税込)
固定報酬 最大年0.715% + ファンド費用 最大年0.2702%
※固定報酬型の場合
信託財産留保額(最大で0.330%)がかかる
例:解約額30万円で990円
目標ポートフォリオに沿った運用
年率1.0075%(税込)
※利用料・運用コストの合算値/内訳は不明
目標ポートフォリオに沿った運用
上記では多くの項目を比較していますが、着目したいのは「最小投資額」「利用料・運用コスト」、「運用スタイル」の3つです。
少額から始められるか
利用料・運用コストが低コストか
どんな運用スタイルか
最も少額から始められるのは1,000円からのON COMPASSです。
SBIラップ、楽ラップは1万円からと、ON COMPASSよりはハードルが上がりますが、比較的少額から始めることができます。
いずれのロボアドバイザーも積立サービスに対応していますので、コツコツ投資したい方は積立を利用するのがおすすめです。
利用料は、投資一任型ロボアドバイザーを利用することでかかる費用です。
利用料と投資信託やETFの運用コスト(信託報酬)を合わせると、SBIラップ、楽ラップ、ON COMPASSいずれも年1%程度で大きな差はありません。
主要ロボアドバイザーのWealthNavi(ウェルスナビ)では利用料と運用コストを合わせると年1.2%程度となりますので、それよりはやや低い水準です。
楽ラップでは手数料コースが2つあり、年1%程度の固定報酬型の他、成功報酬併用型があります。固定報酬型は運用成績にかかわらず一定の手数料率であるのに対して、成功報酬型は、固定費用を低くする代わりに運用益に対する成功報酬を設けています。1年間の収益率が2%を超えると、固定報酬型の方が手数料を抑えられるようです。
楽ラップやON COMPASSは、設定する目標ポートフォリオに沿った運用が行われます。WealthNavi(ウェルスナビ)やTheo(テオ)といったロボアドバイザーも、同様の運用スタイルです。
一方、SBIラップでは目標ポートフォリオがありません。
SBIラップは、相場状況によってポートフォリオを機動的に変動させる運用スタイル。相場の先読みに役立つマーケットデータをAIで分析し、相場に合わせて自動でリスクを調整するという仕組みです。
どちらの運用スタイルがご自身に合っているかは、過去の運用状況やバックテスト(過去のデータを用いたシミュレーション)などを参考に検討しましょう。
楽ラップには「下落ショック軽減機能(TVT機能)」がついており、ほとんどの運用コースで選択することができます。この機能は、“株式市場の値動きが大きくなり、その状況が継続すると見込まれる場合に一時的に株式の比率を引き下げ、債券の投資比率を上げることで契約資産の損失を抑えることを狙う機能”です。
またON COMPASSでは、独自の金融工学でのリスク管理による「下落に強い安定運用」が特徴とされています。
価格が下落する際に、下落幅の最小化を目指す独自の金融工学に基づいて分散投資が行われるため、金融危機時などに最大下落幅を抑制する効果が期待できるようです。
各サービスには少しだけ注意点があります。
SBIラップは株式会社FOLIOとの間での投資一任契約
楽ラップにはポイントサービスが適用されない
ON COMPASSは契約時期によりすぐに開始できない場合がある
SBIラップはSBI証券とFOLIOが共同開発したサービス。
申し込む際には株式会社FOLIOとの間で投資一任契約を結ぶかたちになります。手続きはSBI証券のWEBサイト上で完結できます。
楽天証券は、取引で楽天ポイントが貯まったり、楽天ポイントで投資信託が買えたりといったポイントサービスが充実しています。しかし、残念ながら楽ラップには適用されません。
ON COMPASSは、運用開始までの時間がかかります。投資一任契約を締結した月の翌月11日を目途に運用が開始されますので、月初に契約締結した場合、開始まで1ヶ月以上待たなければならないことになります。
これからロボアドバイザーで投資を始めたいという方は、ネット証券のロボアドバイザーも考慮に入れてみるとよいでしょう。ネット証券なら投資の幅も広がります。
松井証券の「投信工房」は、WealthNavi(ウェルスナビ)やTHEO(テオ)といった主要ロボアドバイザーに近いサービスをより低いコストで受けられます。また、つみたてNISAに対応している点も見逃せませんよ。
2023年1月19日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。