UPDATE 2020.11.2
ロボアドバイザーの中で、一番人気は「WealthNavi(ウェルスナビ)」です。預かり資産、申込件数ともにナンバーワン。「THEO(テオ)」がそれに続いています。
この2つのサービスは、いずれも海外のETFという金融商品に分散投資するロボアドバイザー。ほぼ同時期にスタートしていますが、2017年以降、急成長を遂げています。
WealthNavi (ウェルスナビ) |
THEO (テオ) |
|
---|---|---|
運営会社 |
ウェルスナビ株式会社 |
株式会社お金のデザイン |
サービスリリース |
2016年7月 |
2016年2月 |
預かり資産 |
3,000億円 ※1 |
600億円 ※2 |
口座数 |
34万口座 ※1 |
11.5万口座 ※2 |
※1:2020年10月9日時点
※2:2020年2月7日時点
WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)は、銘柄選びから売買、運用までをすべておまかせできるという、サービスのアウトラインは共通しています。しかし、細かく見ていくと違いも多いことに気づきます。どんな違いがあるのかこれから解説していきます。
WealthNavi (ウェルスナビ) |
THEO (テオ) |
|
---|---|---|
投資対象 |
海外ETF(上場投資信託) |
海外ETF(上場投資信託) |
買付ETF銘柄数 |
6~7銘柄 |
30~40銘柄 |
最低投資金額 |
10万円 |
10万円 |
積立投資 |
1万円/月~ ※リバランス機能付き自動積立 |
1万円/月~ |
利用料(税別) ※売買手数料・為替手数料含む |
年率1.0% ※3,000万円を超える部分は年率0.5% |
年率1.0% ※3,000万円を超える部分は年率0.5% |
運用コスト(信託報酬) |
年率0.10%~0.14% |
明記されていない |
割引制度 |
長期割 |
テオ カラーパレット |
自動リバランス |
原則として半年に1回 ※資産クラスが5%以上乖離した際は前倒しで実施 |
1ヶ月に1回 |
ポートフォリオの自動変更 |
なし |
年齢などに応じて年1回見直し ※「THEOにおまかせ」を有効にしている場合 |
その他の機能 |
自動税金最適化機能(DeTAX) |
THEO AIアシスト |
クイック入金対応銀行 |
7行 |
7行 |
出金可能額 |
全額 |
全額 ※2020年10月末から全額出金可能 |
スマホアプリ |
iPhone、Android |
iPhone、Android |
投資対象が海外ETFである点、利用料が年率1.0%(税別)である点、割引制度がある点など、共通している部分も多いですね。
投資対象はWealthNavi(ウェルスナビ)もTHEO(テオ)も海外ETFです。
買い付ける銘柄数には違いがあり、WealthNavi(ウェルスナビ)は定番銘柄に絞り込んだ6~7銘柄なのに対して、THEO(テオ)では30~40銘柄程度と、きめ細かく多くの商品に配分されます。
これは両社の考え方の違いによるものだと思いますが、どちらが良いと簡単に言えるものではなさそうです。
いくらから始められるかという最低投資額を見ると、WealthNavi(ウェルスナビ)、THEO(テオ)ともに10万円と比較的少額から始められます。
また、積立投資は両者とも月1万円からできます。
細かい話になりますが、WealthNavi(ウェルスナビ)では現金が2万円以上にならないと積立購入されないようです。積立設定が1万円だと実際の購入は2ヶ月ごとになるということです。
ロボアドバイザーのコストは、利用料と、信託報酬と呼ばれる運用コストの2つです。
WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)の利用料は、いずれも預かり資産(入金したお金)の年1%(税別)。
100万円預けていると年に1万円かかる計算で、預けている間ずっと差し引かれ続けます。10年なら10万円、20年なら20万円です(いずれも税別)。
利用料には、ロボアドバイザー自体の利用料の他、投資対象である海外ETFの売買手数料や、売買のために円を米ドルなどに換える際の為替手数料などが含まれます。
これを高いとするか、安いとするかは評価が分かれるところですが、利用料1%が差し引かれ続けるということは、その分利益が減ってしまうことを意味します。長期投資ではランニングコストをできるだけ抑えることも重要なポイントです。
利用料の他、信託報酬という運用コストがかかります。
WealthNavi(ウェルスナビ)やTHEO(テオ)のWebサイトでは記載が目立たないため、利用者の方でも認識されていない方がいるかもしれません。
信託報酬は、WealthNavi(ウェルスナビ)ではプランにより年0.1~0.14%と記載されています。THEO(テオ)では明記されていませんが、投資対象が同じ海外ETFのためWealthNavi(ウェルスナビ)と大きな差はないと思われます。
両者の投資先である海外ETFは信託報酬が低めの商品です。年0.1%程度というのは投資信託と比べても低いものと言えます。
コストで差があるのは割引制度の内容ですね。THEO(テオ)の方が、割引の適用条件がゆるく、最大割引率が高くなっています。
リバランスとは、銘柄の配分を最初に決めた配分(ポートフォリオ)に合わせて調整することです。
運用開始から時間がたつと、値動きの影響で銘柄の配分が変わってくることがありますが、その際、商品を売買することで配分を元に戻すのです。
このリバランス機能は、WealthNavi(ウェルスナビ)では積立をしていれば積み立てる度に行われる他、原則として半年に1回行われます。
THEO(テオ)は、積み立てる際のリバランスはありませんが、1ヶ月に1回リバランスされます。
自分で運用する場合、リバランスは年1回程度が目安とされています。少し内容に違いはありますが、どちらも充分頻繁にリバランスが行われると言えるでしょう。
自動税金最適化を行う機能は、当初はWealthNavi(ウェルスナビ)だけの機能でしたが、THEO(テオ)も追従して実装しました。簡単に言うと、分配金を受け取ったり、リバランス時に商品を売却したりする際、利益を少なく調整するための売買を同時に行い、支払う税金を抑える機能です。
この機能の効果は、Webサイトには明記されていませんが、WealthNavi(ウェルスナビ)の柴山CEOは、”多くの場合、「DeTAX」の機能により年間0.4~0.6%程度の負担減となる”とインタビューで話しています。目に見えにくいですが効果が期待されます。
THEO(テオ)は、リバランスだけではなく、資産運用方針(成長・安定のバランス配分)自体の自動変更機能も備えています。年齢や金融資産額などに応じて年1回変更してくれるサービスで、年齢が上がると値動きが安定した資産の配分を増やしてくれるようなものだと考えられます。
まだサービス開始から数年のためどの程度有効な機能なのかは判断できませんが、初心者にとっては少し難しい部分ですので助かる機能です。
THEO(テオ)のAIアシストは、AIが投資対象銘柄の大幅下落を判断した際、該当する銘柄の比率を引き下げて、資産全体が大きくマイナスしないように調整する機能です。深刻な大幅下落の際だけに機能するようですので、万一の保険のようなものだと捉えればよいでしょう。
当初は、WealthNavi(ウェルスナビ)だけに「自動税金最適化」があり、ここがTHEO(テオ)とサービス面での大きな差となっていましたが、THEO(テオ)が追従したことでその差はなくなっています。
どちらのサービスも、提携銀行のネットバンキングからの入金(クイック入金)が無料で利用できます。提携数や銀行の顔ぶれに大きな違いはありません。
出金時は、登録している出金先口座へ振り込まれますが、どちらも手数料は無料です。
WealthNavi(ウェルスナビ)、THEO(テオ)ともに全額出金が可能です。THEO(テオ)は、以前、預かり資産が10万円を切る出金はできず、全額出金の際には口座解約が必要でしたが、2020年10月末から、口座解約せずに全額出金ができるようになりました。
スマホアプリは、WealthNavi(ウェルスナビ)、THEO(テオ)ともにiPhone、Androidの両方に対応しています。
なお、WealthNavi(ウェルスナビ)のアプリは2018年グッドデザイン賞を受賞しています。
比較してきたように、WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)の基本機能に決定的な違いはありません。
サービス面で言えば、以前は「自動税金最適化」を備えたWealthNavi(ウェルスナビ)が一歩リードしていましたが、THEO(テオ)が追従したことでその差がなくなりました。また、割引制度においては、THEO(テオ)の方がより利用料を抑えることができるという意味ではメリットがあります。
もちろん最も重要なのは運用成績ですが、将来の成績は予想しにくいですのでコスト面のサービススペックで選ぶのも一つの考え方です。
資産形成をおまかせできるロボアドバイザーサービスは、資産形成のことを考える時間のない人にとって便利なサービスです。ただし、すべておまかせする以上はサービス自体に対する理解や絶対的な信頼感が欠かせません。
WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)のどちらにするか、というだけでなく、投資に関する最低限の理解を持った上で始めましょう。
WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)は、機能面では互角ですがコスト面では割引制度が受けやすいTHEO(テオ)に分があります。人気の高さならWealthNavi(ウェルスナビ)、コストならTHEO(テオ)という選択になりますね。
2020年11月2日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。