UPDATE 2023.1.18
ロボアドバイザーの中で一番人気は「WealthNavi(ウェルスナビ)」です。預かり資産、申込件数ともにナンバーワン。「THEO(テオ)」がそれに続いています。
この2つのサービスは、いずれも海外のETFという金融商品に分散投資するロボアドバイザー。ほぼ同時期にスタートしていますが、2017年以降、急成長を遂げています。
WealthNavi (ウェルスナビ) |
THEO (テオ) |
|
---|---|---|
運営会社 |
ウェルスナビ株式会社 |
株式会社お金のデザイン |
サービスリリース |
2016年7月 |
2016年2月 |
預かり資産 ※1 |
6,936億円 |
1,498億円 |
口座数 ※1 |
35万口座 |
12万口座 |
※1:2022年9月現在
WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)は、銘柄選びから売買、運用までをすべておまかせできるというサービスのアウトラインは共通しています。しかし、細かく見ていくと違いも多いことに気づきます。どんな違いがあるのかこれから解説していきます。
WealthNavi (ウェルスナビ) |
THEO (テオ) |
|
---|---|---|
投資対象 |
海外ETF(上場投資信託) |
海外ETF(上場投資信託) |
買付ETF銘柄数 |
6~7銘柄 |
30~40銘柄 |
最低投資金額 |
10万円 |
10万円 |
積立投資 |
1万円/月~ ※リバランス機能付き自動積立 |
1万円/月~ |
利用料(税込) ※売買手数料・為替手数料含む |
年率1.1% ※3,000万円を超える部分は年率0.55% |
年率1.1% ※3,000万円を超える部分は年率0.55% |
運用コスト(信託報酬) |
年率0.08%~0.13% |
明記されていない |
割引制度 |
長期割 |
テオ カラーパレット ※2023年1月以降の申込には適用されない |
自動リバランス |
原則として半年に1回 ※資産クラスが5%以上乖離した際は前倒しで実施 |
1ヶ月に1回 |
ポートフォリオの自動変更 |
なし |
年齢などに応じて年1回見直し ※「THEOにおまかせ」を有効にしている場合 |
その他の機能 |
自動税金最適化機能(DeTAX) |
THEO AIアシスト |
クイック入金対応銀行 |
7行 |
8行 |
出金可能額 |
全額 |
全額 |
NISA対応 |
おまかせNISA(NISA口座) |
対応なし |
その他 |
ー |
SMBC日興証券の口座開設が必要 |
投資対象が海外ETFである点、利用料が年率1.1%(税込)である点など、共通している部分もありますね。
投資対象はWealthNavi(ウェルスナビ)もTHEO(テオ)も海外ETFです。
買い付ける銘柄数には違いがあり、WealthNavi(ウェルスナビ)は定番銘柄に絞り込んだ6銘柄程度なのに対して、THEO(テオ)では最大30銘柄以上と、きめ細かく多くの商品に配分されます。
これは両社の考え方の違いによるものだと思いますが、どちらが良いと簡単に言えるものではなさそうです。
いくらから始められるかという最低投資額を見ると、WealthNavi(ウェルスナビ)、THEO(テオ)ともに10万円と比較的少額から始められます。
また、積立投資は両者とも月1万円から可能です。
ロボアドバイザーのコストは、利用料と信託報酬と呼ばれる運用コストの2つです。
WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)の利用料は、いずれも預かり資産(入金したお金)の年1.1%(税込)。
100万円預けていると年に1.1万円かかる計算で、預けている間ずっと差し引かれ続けます。10年なら11万円、20年なら22万円です(いずれも税込)。
利用料には、ロボアドバイザー自体の利用料の他、投資対象である海外ETFの売買手数料や、売買のために円を米ドルなどに換える際の為替手数料などが含まれます。
この利用料を高いとするか安いとするかは評価が分かれるところですが、利用料1.1%が差し引かれ続けるということはその分利益が減ってしまうことを意味します。長期投資ではランニングコストをできるだけ抑えることも重要なポイントです。
利用料の他、商品ごとに信託報酬という運用コストがかかります。
信託報酬は、WealthNavi(ウェルスナビ)では「プランにより年0.08%~0.13%程度」と記載されています。THEO(テオ)では明記されていませんが、投資対象が同じ海外ETFのためWealthNavi(ウェルスナビ)と大きな差はないと思われます。
両者の投資先である海外ETFは信託報酬が低めの商品です。年0.1%程度というのは投資信託と比べても低いものと言えます。
コストで差があるのは割引制度の有無ですね。2023年以降の申し込みで割引制度が適用されるはWealthNavi(ウェルスナビ)のみとなります。
リバランスとは、銘柄の配分を最初に決めた配分(ポートフォリオ)に合わせて調整することを指します。
運用開始から時間がたつと値動きの影響で銘柄の配分が変わってくることがありますが、その際、商品を売買することで配分を元に戻すのです。
これを自動的に行うリバランス機能は、WealthNavi(ウェルスナビ)では積立をしていれば積み立てる度に行われる他、原則として半年に1回行われます。
THEO(テオ)は、積み立てる際のリバランスはありませんが、1ヶ月に1回リバランスされます。
自分で運用する場合、リバランスは年1回程度が目安とされています。少し内容に違いはありますが、どちらも充分頻繁にリバランスが行われると言えるでしょう。
自動税金最適化を行う機能は、当初はWealthNavi(ウェルスナビ)だけの機能でしたが、THEO(テオ)も追従して実装しました。簡単に言うと、分配金を受け取ったり、リバランス時に商品を売却したりする際、利益を少なく調整するための売買を同時に行い支払う税金を抑える機能です。
この機能の効果はWebサイトには明記されていませんが、WealthNavi(ウェルスナビ)の柴山CEOは、”多くの場合、「DeTAX」の機能により年間0.4~0.6%程度の負担減となる”とインタビューで話しています。目に見えにくいですが効果が期待されます。
THEO(テオ)は、リバランスだけではなく、資産運用方針(成長・安定のバランス配分)自体の自動変更機能も備えています。年齢や金融資産額などに応じて年1回変更してくれるサービスで、年齢が上がると値動きが安定した資産の配分を増やしてくれるようなものだと考えられます。
まだサービス開始から数年のためどの程度有効な機能なのかは判断できませんが、初心者にとっては少し難しい部分ですのであると助かる機能だと言えます。
THEO(テオ)のAIアシストは、AIが投資対象銘柄の大幅下落を判断した際、該当する銘柄の比率を引き下げて資産全体が大きくマイナスしないように調整する機能です。深刻な大幅下落の際だけに機能するようですので、万一の保険のようなものだと捉えればよいでしょう。
リバランス機能、自動税金最適化は両者ともに備えていますが、資産運用方針の自動変更やAIアシストといった機能があるのはTHEO(テオ)だけですね。
どちらのサービスも、提携銀行のネットバンキングからの入金(クイック入金)が無料で利用できます。提携数や銀行の顔ぶれに大きな違いはありません。
出金時は登録している出金先口座へ振り込まれますが、どちらも手数料は無料です。
WealthNavi(ウェルスナビ)、THEO(テオ)ともに全額出金が可能です。THEO(テオ)では、以前は預かり資産が10万円を切る出金はできず、全額出金の際には口座解約が必要でしたが、現在は口座解約せずに全額出金ができます。
WealthNavi(ウェルスナビ)には「おまかせNISA」というNISA対応サービスがあります。NISAでは、通常利益にかかる約20%の税金がかからない点が大きなメリットですが、WealthNavi(ウェルスナビ)なら、NISA口座を利用した非課税での運用が可能です。
一方のTHEO(テオ)は、NISAには対応していません。
比較してきたように、WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)の基本機能に決定的な違いはありません。
ポイントになるのは「割引制度」と「NISA」です。
割引制度は、THEO(テオ)では2023年1月以降の新規申込者には適用されなくなったため、WealthNavi(ウェルスナビ)がやや優位となります。
また、NISAの利用可否は大きな違いです。NISAのメリットは、WealthNavi(ウェルスナビ)であれば享受できます。
資産形成をおまかせできるロボアドバイザーサービスは、資産形成のことを考える時間のない人にとって便利なサービスです。ただし、すべておまかせする以上はサービス自体に対する理解や絶対的な信頼感が欠かせません。
WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)のどちらにするかというだけでなく、投資に関する最低限の理解を持った上で始めましょう。
NISA利用や人気の高さならWealthNavi(ウェルスナビ)、資産運用方針の自動変更など、よりきめ細かいサービスに興味があるならTHEO(テオ)がおすすめです。両者の運用成績についてもチェックしましょう。
2023年1月18日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。