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02フラット35と銀行の長期固定金利はどちらがいいの?

UPDATE 2019.6.14

はじめに
住宅ローンで長期固定金利を検討している方は多いと思いますが、最初からフラット35だけに絞っていませんか。フラット35に類似した商品として、銀行の長期固定金利という選択肢があります。
金利の状況や団信の違いについて、Fin/dの監修もしていただいている、FPのYOICHIさんに聞いてみました。

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YOICHI / ファイナンシャルプランナー

外資系保険会社を経て、2009年からファイナンシャルプランナーとして活動する。
ファイナンシャルプランニングの経験は12年超、1,000件以上の面談経験を持つ。 住宅購入、生命保険、相続や贈与の相談も得意とする。

フラット35と銀行の長期固定金利を比較すると?

住宅ローンで長期固定金利を希望する場合は、フラット35ということになりますよね。

フラット35は全期間固定金利の住宅ローンですね。
確かに長期固定金利のうちのひとつです。

ひとつ?ということは、その他にもあるのですか?

銀行にも20年、30年、35年といった長期固定金利の商品があります。ご存知ありませんか?

そういえば、見たことがあるような気も…。

確かに、「銀行の住宅ローン=変動金利または当初固定金利」、「長期固定金利=フラット35」といったイメージが強いかもしれません。
でも、長期固定金利を検討するなら、銀行の長期固定金利もぜひチェックして欲しいですね。

フラット35よりも金利が低いということですか?

必ずしもそうではありませんが、金利や団信(団体信用生命保険)など、比較検討する価値は充分あります。
35歳のTさんを例にご説明しましょう。
Tさんは、4,000万円の住宅ローンを35年で組む予定で、長期固定金利を希望しています。

全期間固定金利の「フラット35」と、「銀行の長期固定金利の住宅ローン」を比べてみます。銀行の住宅ローンは、特に金利が低い商品をピックアップしてます。
まず、金利を比べてみると、次のようになります(金利は2019年6月時点)。

長期固定金利の金利比較

  フラット35(ARUHI)※1 みずほ銀行 全期間固定プラン 三井住友信託銀行 固定プラン※2
借入期間:35年

年1.27%

年1.24%

30年

年1.27%

年1.23%

年1.12%~年1.42%

25年

年1.27%

年1.20%

20年

年1.21%

年1.17%

年1.07%~年1.37%

※1 借入9割以下、団信加入の場合

あれ?銀行の金利の方が低い???

みずほ銀行の全期間固定プランの金利は、すべての借入期間でフラット35よりも低いですね。三井住友信託銀行では、35年という借入期間の設定はないものの、条件によってはみずほ銀行よりさらに低い金利で借りられる可能性があります。
フラット35の金利は「15年~20年」と「21年~35年」の2段階ですが、銀行の場合は5年または10年刻みと設定が細かくなっています。例えば、借入期間が25年の場合の金利ですが、フラット35では35年の場合と同じなのに対して、みずほ銀行の場合は35年よりも0.04%低い金利設定ですね。

これならフラット35よりも、銀行の長期固定プランの方がおトクな気がします。金額で言うと、いくらくらい違ってくるのですか?

4,000万円借りるTさんのケースで、ざっとシミュレーションしてみましょうか。
元利均等返済、ボーナス払いなしで計算しています。

借入期間35年の場合

  フラット35(ARUHI)※1 みずほ銀行 全期間固定プラン 三井住友信託銀行 固定プラン
毎月返済額

118,017円

117,443円

総返済額

約4,957万円

約4,933万円

※1 借入9割以下、団信加入の場合

借入期間35年の場合、フラット35とみずほ銀行の金利差は0.03%で毎月返済額の差は574円とわずかですが、総返済額の差は約24万円です。

0.03%の金利差もあなどれませんね。24万円は日常生活ではなかなかの大金ですよね。

せっかくですから、借入期間30年の場合も確認しておきましょう。

借入期間30年の場合

  フラット35(ARUHI)※1 みずほ銀行 全期間固定プラン 三井住友信託銀行 固定プラン(年1.12%の場合)
毎月返済額

133,676円

132,925円

130,872円

総返済額

約4,812万円

約4,785万円

約4,711万円

※1 借入9割以下、団信加入の場合

総返済額を比べると、フラット35とみずほ銀行との差は約27万円、三井住友信託銀行との差は約101万円にもなります。三井住友信託銀行は最優遇金利(年1.12%)の計算にはなりますが、かなり割安感がありますね。

100万円以上!?そんなに差があるのですね。ただ、三井住友信託銀行は35年では借りられないですよね。

確かにそうですが、最初から住宅ローンの繰上返済を想定している方であれば、必ずしも最長の35年で借りなくてもよいと思います。もちろん、長い方が安心という心情も理解できますし、借入期間を短くすれば毎月返済額の負担増にはなりますが、30年や25年でシミュレーションだけでもしてみることをおすすめします。

フラット35Sと比べると?

フラット35には、「フラット35S」というのもあった気がするのですが…。

私もその説明をしようと思っていたところです。「フラット35S」というのは、当初一定期間の金利を引き下げる制度。具体的には、住宅金融支援機構が定める基準を満たす住宅であれば、当初の5年または10年間、金利が年0.25%引き下げられます。
最初の表に加えてみますと、こうなります。

フラット35Sを加えた長期固定金利の金利比較

  フラット35S ※1 フラット35(ARUHI)※2 みずほ銀行 全期間固定プラン 三井住友信託銀行 固定プラン
借入期間:35年

年1.02%

年1.27%

年1.24%

30年

年1.02%

年1.27%

年1.23%

年1.12%~年1.42%

25年

年1.02%

年1.27%

年1.20%

20年

年0.96%

年1.21%

年1.17%

年1.07%~年1.37%

※1 借入9割以下、団信加入の場合、当初5年または10年間の金利

※2 借入9割以下、団信加入の場合

フラット35Sがダントツで低金利ですね。

当初5年または10年間という条件付きにはなりますが、0.25%引き下げというのはなかなかインパクトがありますね。
下の表の通り、借入期間35年の場合、フラット35S(金利Aプラン:当初10年引き下げ)の総返済額は、通常のフラット35よりも96万円も少なくなります。

借入期間35年の場合

  フラット35S ※1 フラット35(ARUHI)※2 みずほ銀行 全期間固定プラン 三井住友信託銀行 固定プラン
毎月返済額

113,287円

118,017円

117,443円

総返済額

約4,861万円

約4,957万円

約4,933万円

※1 借入9割以下、団信加入の場合、当初5年または10年間の金利

※2 借入9割以下、団信加入の場合

ただ、下の表の通り借入期間30年の場合で比べると、フラット35Sよりも、三井住友信託銀行の最優遇金利(1.12%)の方が、総返済額が9万円ほどですが少なくなりますね。あくまで最優遇金利の場合になりますが。

借入期間30年の場合

  フラット35S ※1 フラット35(ARUHI)※2 みずほ銀行 全期間固定プラン 三井住友信託銀行 固定プラン
毎月返済額

129,023円

133,676円

132,925円

130,872円

総返済額

約4,720万円

約4,812万円

約4,785万円

約4,711万円

※1 借入9割以下、団信加入の場合、当初5年または10年間の金利

※2 借入9割以下、団信加入の場合

フラット35Sが使えるのはどんな住宅の場合ですか?

フラット35Sは、省エネルギー性や耐震性など、一定の基準を満たしている住宅を購入する際に利用することができます。購入希望の住宅がフラット35Sの基準を満たしているかどうかは、不動産会社に確認するのが早いですね。
また、現時点では2020年3月末までの期間限定の制度となっている点、予算金額があり予算金額に達する見込みとなった場合は受付を終了するという点に注意してくださいね。

団信(団体信用生命)の違いは?

金利の他にも、団信(団体信用生命保険)の内容も重要な比較ポイントです。

団信?そんなに違いがあるものなのでしょうか?

最近は、一般団信の他、がん団信や3大疾病補償、8大疾病補償など、補償の幅が広がっていますから要チェックです。
一般団信だけでよいのであれば比較する必要はありませんが、がん団信などの疾病特約を検討するのであれば、しっかり比較しましょう。

一番のポイントは、「どういった条件で支払われるか(支払事由)」。同じ8大疾病補償をうたっていても、手術をしたら残債が0円になる団信もあれば、いかなる業務にも従事できない就業不能状態が1年以上続かないと保障が適用されない団信もあります。この「支払事由」はしっかりチェックしてくださいね。

支払事由って、細かい字で書いてあるアレですね。しっかり確認しないといけないのですね。

団信については、保険料の違いもあります。一般団信は無料の場合がほとんどですが、がん団信や疾病補償の場合は一般団信に特約をつけることになりますから保険料がかかります。
保険料の支払方法は、ARUHIでは毎月支払う形式、三井住友信託銀行は金利が上乗せになる形式、みずほ銀行は団信の種類によって異なりますね。

団信(団体信用生命保険)の比較

  フラット35(ARUHI) みずほ銀行 全期間固定プラン 三井住友信託銀行 固定プラン(年1.12%の場合)
団信(団体信用生命保険)

・一般団信/ワイド団信(無料)
・がん団信(50%保障)
・がん団信(100%保障)
・生活習慣病団信

・一般団信/ワイド団信(無料)
・8大疾病補償
・8大疾病補償プラス
・がん団信(100%保障)*年0.2%上乗せ

・一般団信/ワイド団信(無料)
・8大疾病保障(50%給付)*年0.1%または0.15%上乗せ ※1
・8大疾病保障(100%給付)*年0.2%または0.3%上乗せ ※1

疾病保障の保険料

毎月支払い

8大疾病補償:毎月支払い(5年ごとに保険料率見直し)
がん団信:金利上乗せ

金利上乗せ

※1 8大疾病保障充実プラン・ライトプランあり

団信と一言で言っても、金融機関によっていろいろ違うのですね。

団信まで含めて住宅ローンですから、金利だけでなく団信の内容もしっかり比較することが大切ですよ。
いろいろと説明しましたが、銀行の長期固定金利をフラット35と比べる意義は充分にあります。しっかり検討して、納得したうえで選んでくださいね。

銀行の長期固定金利は要チェック

長期固定金利を検討している方は、フラット35だけではなく、銀行の長期固定金利も検討の余地があります。金利は毎月変わりますので、最新の情報をチェックしてくださいね。

住宅ローンのご相談はFin/d提携のFPへ

Fin/dでは、住宅ローンの商品にも詳しく、ファイナンシャルプランニング全般の実務経験豊富なFPと提携していますのでご紹介も可能です。こちらの問い合わせフォームよりお問い合わせください。

住宅ローンについてはこちらの情報も参考にしてください

2019年6月14日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。

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