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05住宅ローンの繰上返済はいつでも最優先すべきなの?

UPDATE 2019.10.17

はじめに
住宅ローンを返済中、又は住宅ローンを借りようとしている人の中には、「早めに繰上返済をしたい」と考えているケースがあります。繰上返済は利息を減らせるメリットがある一方で、デメリットやリスクもあります。
繰上返済に対する考え方について、Fin/dの監修もしていただいている、FPのYOICHIさんに聞いてみました。

YOICHI / ファイナンシャルプランナー

外資系保険会社を経て、2009年からファイナンシャルプランナーとして活動する。
ファイナンシャルプランニングの経験は12年超、1,000件以上の面談経験を持つ。 住宅購入、生命保険、相続や贈与の相談も得意とする。

繰上返済にもデメリットやリスクがある

住宅ローンを借りたら、やっぱり繰上返済はした方がいいんですよね。

そうとも言い切れないんです。一般的に、繰上返済のメリットばかり強調されていますが、繰上返済のデメリットやリスクもあります。

デメリット?メリットしかないと思っていました。

では、ひとつ質問させてください。繰上返済の目的は何でしょうか?

目的?それは、住宅ローンの利息分を減らすこと、ですよね。

そうですね。確かに繰上返済すると利息が減ります。一方で、繰上返済することでお手持ちの現金を減らすことになるということを忘れてはいけません。やりすぎると「繰上返済貧乏」に陥る可能性があるということです。

繰上返済貧乏?どういうことですか?

繰上返済をすると返したお金は戻ってきません。繰上返済し過ぎると「教育資金が足りない」「老後資金が足りない」という事態が起こる可能性があります。
お金が足りなくなって新たに借り入れしようとすると、通常は住宅ローンの金利より高くなります。例えば、教育ローンの場合、金利は住宅ローンよりも高いのが一般的です。せっかく低い金利で住宅ローンを借りているのに、それより高い金利で借りなければならなくなってしまったら本末転倒です。

そういうことですか。実際に教育費まで足りなくなる人っているんでしょうか…。

決して珍しくありません。教育プランは変わりやすいのが常です。もともと公立中学を考えていても、中学受験して、私立中高一貫に変更するケースもあるでしょう。中学受験では塾代を含めて200万円から300万円ほどかかる家庭が多いようです。
また、大学のみならず学費も全体的に上昇しています。学費以外にも、部活やクラブ活動も合宿、遠征費なども含めると結構な負担です。教育費を少なく見積もっている人は多いかもしれませんね。

今は家計の収支が黒字だとしても、仕事の状況によって収入が減ることもありえます。病気や親の介護などで突発的にお金が必要になることもあるかもしれません。将来の備えのために、繰上返済しすぎないことも大切です。

なるほど。では、ちょっとずつ繰上返済すればいいということですか?

早く返そうとそう焦る必要はありませんよ。大切なのは、繰上返済の計画を立てることです。

繰上返済の計画を立てよう

計画ですか…具体的にはどうすればいいんでしょう?

まずは完済する時期を決めることです。退職(引退)するタイミングが頃合いでしょう。退職すると収入がグッと減りますので、住宅ローンが残っていると老後の生活がひっ迫しかねません。
退職時に住宅ローンの残高がいくら位あるのかを確認しましょう。残債がわかれば、その金額をどの位のペースで貯めていけば良いのかわかります。

わ、わかりました。

4,000万円の住宅ローンを借りたTさんという方を例に計算してみましょう。
変動金利で年0.575%、元利均等返済で借入期間は35年。Tさんは35歳です。

退職が65歳とすると、そのときの残債は約622万円。それを30年(360ヶ月)で割ると、約1.7万円となります。退職時に住宅ローンを完済するためには、月々約1.7万円の積み立てが必要ということになります。これが繰上返済の計画です。
特に金利が低い現状では、借金だから早く返そうと焦らなくていいでしょう。それに、住宅ローン控除が使える場合は、当初10年は税金が控除されますし、物価が上がれば実質借金は減ることになりますので、早く返せば良いという訳ではありません。

月々1.7万円。具体的な数字になると現実味がありますね。

そうですね。毎月の目標が明確になりますよね。
そして、この計画の際には、人生3大出費の残りの2つである教育資金、老後資金の計画も併せて立ててください。そうしないと、繰上返済貧乏になってしまいますから。

繰上返済だけに目を奪われてはいけない、ということですね。

そうですね。返すのは一瞬ですが、貯めるのは時間がかかります。繰上返済の計画は、変動金利のみならず固定金利でも同じです。

その他、繰上返済で知ってくべきこと

固定金利だと変動金利より金利が高いですから、早く繰上返済した方がいいような気がしてしまいますが。

繰上返済とセットで考えるのは、金利の高さではなくて、金利上昇のリスクです。変動金利は金利上昇のリスクがあるので、なるべく金利が低いうちに返した方がよい、という考え方になります。
特に全期間固定金利だと金利上昇リスクはないので、まずは退職時に完済することを意識しておけば、必要以上に早く返さなくても良いでしょう。固定金利で早く繰上返済したい人は、最初から変動金利で借りた方が良かったのではないでしょうか。

なるほど。固定金利なら、早く返さなきゃと焦る必要はあまりないわけですね。

そうですね。不動産販売会社や銀行は、月々の返済負担を抑えて見せるために、35年で住宅ローンを試算するのが一般的です。月々の返済に余裕がある人であれば、35年だけでなく、30年や25年、又は退職時までの年齢で試算してみると良いでしょう。期間が短くなれば、月々の返済額は増えても、総利息は減ります。

また、高い金利で住宅ローンを組んでいて、繰上返済を頑張っている人がいます。残債や期間にもよりますが、金利が高いのであれば、借り換えをしてから繰上返済をした方が良いケースもあります。

<以下は削除しても…>
以前、変動金利1.475%で住宅ローンを借りていた方がいました。約2,000万円繰上返済したものの、私立小学校に行くことになり教育費が足りなくなったため、変動金利0.85%(三大疾病保障付き団信)、期間もあえて延ばして借り換えし、キャッシュフローを改善し、利息も大きく軽減できたこともありました。

確かに…何事も固定観念はなくさないといけないですね。
ところで、繰上返済って早い方が効果が高いと聞いたことがありますが、繰上返済のタイミングについてはどう考えればいいですか?

昨今、金利が低いのでただ貯めるのではなく、増やしてから返すというのも一案です。
Tさんの例でいうと変動金利 年0.575%以上の利回りで増やすことができれば、繰上返済より増やしていった方が有利ということになります。仮に、年利3%で増やすことができたら月々の積立は1.1万円程度で済みますし、30年間の掛け金約390万円に利息が付いて622万円になります。増やせたら、その分負担も減ります。

繰上返済の原資として終身保険や養老保険等の生命保険を提案されることもありますが、昨今、予定利率も高くありませんし、保障が付いている分、効率が落ちますのでお勧めできません。
預貯金では金利が低すぎるので、投資信託で積立投資を行うのが良いでしょう。投資信託は元本保証ではありませんが、運用期間やリスクの取り方によっては様々な選択肢があります(価格が変動するリスクを抑えたい人は、低リスク型のバランスファンドもあります)。

返すことばかりに気持ちが向いていて、自分で増やしてから返すというのは目からうろこです。
ただ、投資は全然やったことないのでどうしたらよいかわからないのですが。

投資はわからない、やりたくないという場合は、素直に繰上返済していったら良いと思います。
ただ、今は低金利ですし、増やしてから繰上返済するという考え方もあるということは覚えておいてくださいね。

わかりました。その他、繰上返済で注意することはありますか?

繰上返済分として積み立てているお金を、他の用途には決して使わないことです。
完済までの道のりは長いわけですから、強い意志でしっかり管理していってくださいね。
また、退職金で住宅ローンを完済しようとする方が結構いらっしゃいますが、それはやめた方がいいですね。老後資金を大きく減らすことになりますから。

YOICHIさん、ありがとうございました!
お話を伺って、繰上返済に対する基本的な考え方が理解できたので、繰上返済貧乏にはならずに済みそうです(笑)。

繰上返済は焦らずうまく活用しよう

住宅ローンの繰上返済はメリットが強調されがちですので、マイナスポイントを理解していない方も少なくないと思います。デメリットやリスクも理解したうえで繰上返済の計画を立て、焦らず、うまく活用していきましょう。

住宅ローンのご相談はFin/d提携のFPへ

Fin/dでは、住宅ローンの商品にも詳しく、ファイナンシャルプランニング全般の実務経験豊富なFPと提携していますのでご紹介も可能です。こちらの問い合わせフォームよりお問い合わせください。

住宅ローンについてはこちらの情報も参考にしてください

2019年10月17日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。

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