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投資信託を選ぶときのデータの見方を解説!正しく理解して自分に合った銘柄を選ぼう

  • 執筆

    Fin/d編集部

  • 監修

    伊藤 圭佑

更新日:2024.04.17

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はじめに

投資信託の情報を証券会社で検索すると、いろいろなデータを参照できます。しかし、並んでいる数値をみるだけでは、どのように投資判断に活かせばよいか悩む方も多いでしょう。そこで今回は、投資信託のさまざまなデータについて、見方や判断の目安を紹介します。これからの投資信託選びに役立ててください。

投資判断に役立つ投資信託のデータ一覧

今回の記事では、こちらのデータについて見方を紹介します。まずは簡単にそれぞれのデータの意味を表にまとめました。

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投資対象/運用方針ファンドで集めた資金をどのような資産に投資しているかまとめています。たとえば「日本を含む先進国ならびに新興国の株式に投資する」といったように投資地域なども記載されます。
ベンチマーク投資信託が参照している市場指数が記載されています。たとえば、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)なら「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)」です。
純資産ファンドの規模を表します。ファンドの投資先の資産価値や現金などで計算されます。
流出入ある期間のファンドへの流入資金、流出資金の合計額です。
分配金ファンドが投資家に還元したお金で、頻度や分配金額は銘柄によりさまざまです。
基準価額売買時のファンドの時価で、多くの投資信託では毎営業日更新されます。
騰落率ファンド価格の上昇・下落率です。ただし「何の」騰落率であるかに注意してみる必要があります。
シャープレシオ以下の式で計算される指標で、数値が高いとリスクが低いわりに収益率が高いことを意味します。
シャープ・レシオ=(ポートフォリオの収益率ー無リスク資産の収益率)÷(ポートフォリオの収益率の標準偏差)
手数料投資信託を売買したり、保有し続けたりするときに発生する手数料です。大きく分けて次の3つがあります。

買付手数料:購入時に徴収される手数料です
運用管理費用(信託報酬):保有期間中に純資産から徴収される手数料です
信託財産留保額:売却時に徴収される手数料です

投資判断に活用するために、それぞれの意味合いやポイントについてさらに詳しく見ていきましょう。

投資対象/運用方針

投資対象や運用方針は、ファンドがどのような資産に分散投資していくのかがまとめられています。投資判断するうえでは次のポイントに着目しましょう。

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投資する資産株・債券など、投資する資産が書かれています。一般に株は相対的にハイリスクハイリターン、債券はローリスクローリターンな傾向にあります。
投資する国日本や米国、先進国や新興国などどの地域の資産に投資しているかがまとめられています。
通貨投資先が円建てなのか、外貨建てなのかが記載されています。外貨建ては「ヘッジ無し」であれば為替リスクがありますが、為替リスクを抑えた「ヘッジあり」商品もあります

どのような資産に投資したいのか、安全志向なのかリターン追求なのかなど、投資方針を定めたうえで方針に合った銘柄を選択しましょう。投資先を分散する際にも、投資対象・運用方針を確認して組み合わせを選べば、誤って似た商品同士を購入せずに済みます。

ベンチマーク

投資信託が参照する市場指数が記載されています。市場指数とは「日経平均」や「S&P500」など、特定の市場の値動きを示す指標のことです。株式だけでなく債券やコモディティなどにも市場指数は存在します。

インデックスファンドの場合は「ベンチマーク」と同じ値動きになることを目指して運用されます。アクティブファンドの場合は「ベンチマーク」を上回ることを追求します。

特にインデックスファンドでは、ベンチマークである市場指数の値動きをみれば、おおよその長期の値動きを推測可能です。新しいファンドではファンド自体の過去データが乏しい場合がしばしばあります。そのようなときにはベンチマークの値動きをチェックするのが有効です。

純資産

ファンドの規模を表す数値です。ファンドでは投資家からあつめた資金を「投資対象/運用方針」に従ってさまざまな資産に投資しますが、投資先の資産価値の総額がおおむね純資産となります。後半で紹介する「分配金」を払いだしたときも、純資産の減少要因となります。

ファンドへの流入額が増える、もしくは投資先のパフォーマンスが良好であれば純資産は増大し、またその逆であれば減少します。純資産が小さいと、方針に沿った運用が難しくなります。

あまりに純資産が小さくなると、「繰上償還」といってファンドが強制的に現金化される場合も。そのため純資産が小さいファンド、継続的に減少が続くファンドを購入するときには注意が必要です。目安としては純資産100億円以上で、資金流出が進んでいないファンドが望ましいでしょう。「資金流出」については次の「流出入」を参考にしてください。

流出入

投資信託への資金流入・流出の合計額、流出入の差額です。一般的に投資家が投資信託を購入したら資金流入が起こり、解約(売却)すれば流出が起こります。資金流入が多ければ純資産の増大要因のひとつ、流出は縮小要因のひとつです。

なお、分配金支払いもファンドから現金が出ていくイベントですが、一般に「流出」とは投資家のファンド解約に伴う流出額を指します。流出が長期にわたり続くファンドは、やがて純資産の縮小や繰上償還のリスクが高まるため注意が必要です。

分配金

分配金は、投資信託の銘柄によって定期的に払いだす資金です。本来はファンドの投資先から収益が出たら、それを分配金で還元するのが理想です。しかし、分配金の出し方はある程度運用者に裁量権があるため、実際には収益が出てないのに分配金を払いだす場合も少なからずあります。

分配金は、投資家にとって現金収入となる一方、純資産の減少や基準価額の下落要因となります。基準価額が下がれば売買損益が悪化するため、分配金が潤沢だからといって良いファンドとは限りません。

分配金を出さないファンドでは、ファンド収益が再投資されてさらに収益拡大が期待できます。長期投資を意図していて、かつ運用期間中の現金収入が不要であれば、分配金なしのファンドの方が効率よく資産形成を進められます。

基準価額

ファンドの投資先の時価総額やプールしている現金、そこから運用コストを差し引いた金額を1万口あたりで割って計算される価額で、投資信託の売買価格の基準となります。

購入時より売却時の基準価額が上がっていれば、売買差益が得られますし、その逆は損失となります。なお、日本の投資信託は、発注の後に決まる基準価額をもとに売買が約定される仕組みのため、発注時から価額が変動する可能性がある点に注意しましょう。

基本的に基準価額が上昇傾向のファンドは、過去の運用成績が良好であることを意味します。ただし、分配金が潤沢なファンドは、運用成績以外の要因で基準価額が下がりがちになります。ファンドによっては「分配金込・再投資後の基準価額」も公開されてるため、こちらを参考にしましょう。

騰落率

騰落率とは、特定のデータの上昇・下落率を示します。投資信託の場合は、基準価額もしくは分配金込・再投資の基準価額の騰落率を示すケースが多いです。また、分配金込・再投資の基準価額の騰落率は「トータルリターン」と表現される場合もあります。

基準価額と同様で、分配金払いが少ないファンドは基準価額の騰落率を見るとよいでしょう。分配金のあるファンド、ないファンドを公平に評価するなら、分配金込・再投資の基準価額の騰落率(トータルリターン)を基準に比較してください。

なお、基準価額にも言えることですが、いずれも基本的に過去の実績を元にしたデータとなります。投資した以後の値動きが過去と同じようになるとは補償されていません。

たとえば、株価が上昇傾向で過去のファンド成績が良好でも、購入直後の市況が悪化して下落し始めるおそれもあります。過去のデータを過信せず、市場動向も分析したうえで、長期で上昇が期待できる銘柄を選びましょう。

シャープレシオ

シャープレシオが高ければ、標準偏差(リスク)に比してリターンが高いことを意味します。シャープレシオが高いファンドを購入すれば損失リスクを抑えながら魅力的なリターンを狙えます。

ただし、シャープレシオも過去のデータに基づく数値である点には注意が必要です。ひとつの目安として、1を超えるファンドはリスクに比してリターンが高く、魅力的なファンドと考えられます。

手数料

投資信託の手数料はつぎの3つで成り立ちますが、このうちほとんどのファンドで必ず発生するのは運用管理費用(信託報酬)です。それ以外は、ネット証券などを中心に無料の銘柄が多く見られます。

買付手数料は購入時に徴収される手数料で、購入時の払込資金から差し引く形で徴収されます。たとえば、基準価額10,000円で買付手数料2%のファンドを1万口買うとします。このとき、基準価額の10,000円と手数料の200円の合計10,200円が徴収されるといった具合です。

運用管理費用(信託報酬)は保有期間中に純資産から徴収される手数料です。こちらは直接投資家から徴収されませんが、純資産から日々差し引かれるため、基準価額の下落要因となります。すなわち信託報酬が高いファンドは、低いファンドより基準価額が上がりにくくなります。

信託財産留保額は売却時に徴収される手数料です。投資家がファンドを解約して換金するときに、信託財産留保額が差し引かれて入金されます。

買付手数料と信託財産留保額は証券会社選び、銘柄選びを工夫すればゼロするのは難しくありません。

運用管理費用(信託報酬)は、インデックスファンドであれば年間0.1%を下回る銘柄がみられます。アクティブファンドの方が相対的に高い傾向にあります。

収益性も大事なので、手数料の安さだけを過信するのはおすすめしませんが、ひとつの目安としてアクティブファンドは1%程度を目途に銘柄を探しましょう。

データの意味や目安を理解して意向に合った投資信託を選ぼう

ネット証券では、Web上で投資信託に関する豊富な情報が得られます。今回は、そのなかでも投資家の判断に重要なデータをまとめました。一目見ただけでは意味合いが分かりにくいデータも多いので、この記事を参考に自分に合ったファンドや運用成績が優れたファンドを選んでみてください。

投資信託におすすめの金融機関

投資信託を始めるなら、取扱商品が多くポイントサービスも充実している楽天証券、SBI証券などがおすすめです。

2024年2月20日時点の情報をもとに記事を作成しています。

Fin/d編集部執筆

20年にわたりネット証券・銀行など金融サービスの改善業務、コンテンツ企画制作を担当してきたメンバー、各種金融事業者での実務経験者、各種資格保有者で構成しています。豊かな人生を送るための基本とも言える金融商品・サービスについて中立的な視点で分かりやすく提供しています。

伊藤 圭佑監修

証券会社、外資系資産運用会社で約14年の勤務経験を持つ。また、個人投資家として15年以上の資産運用経験を持ち、投資信託、株、ETF、不動産、FX、クラウドファンディングなどへ投資。キャリアを通じた専門性と個人投資家の経験を生かし、金融や不動産投資、経済関連の情報提供を行なっている。証券アナリスト、FP3級保有。

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