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投資型クラウドファンディングの代表的なサービス5選

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はじめに

投資型クラウドファンディングは、投資して分配金の獲得を追求するクラウドファンディングです。このうち不動産に投資するものは、不動産投資型クラウドファンディングとなります。

不動産投資型クラウドファンディングのサービスが近年増えていますが、不動産以外の投資型クラウドファンディングも実は存在します。今回は、不動産以外の投資型クラウドファンディングについて、代表的なサービスを5社紹介します。

オルタナバンク

オルタナバンクは、以前は「SAMURAI FUND」と呼ばれていた投資型クラウドファンディングサービスで、運営会社は第一種金融商品取引業と第二種金融商品取引業を有するSAMURAI証券です。

オルタナバンクの概要

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運営会社SAMURAI証券会社
ファンド本数 380本(オルタナバンクWeb上で確認できる銘柄にて集計)
運用期間の目安 ※1ヶ月~35ヶ月
想定利回り目安 ※4.0%~9.9%
ファンドの主な投資先国内外の企業融資、社債、SDGsプロジェクト
その他の特徴・元本割れ0件を継続(2024年10月末時点)
・海外案件多数だが為替リスクを抑えたスキームが多い
・1ファンドで複数の投資先に分散した銘柄も
最低投資金額1万円
※2024年11月20日時点で運用開始済みの銘柄のうち、直近20銘柄をもとに集計

国内外の企業に対する融資を裏付けにファンド組成する事例が多く「ソーシャルレンディング」の枠組みに含まれる場合もあります。しかし、社債投資や流動化債権への投資など、融資以外へ投資するファンドも散見されるのが特徴です。

国内の事業者のほか、海外事業者への融資をもとにファンド組成する案件もしばしば募集されています。海外事業者へ融資を出すと、本来は為替リスクが存在します。しかしオルタナバンクでは、多くのファンドにおいて円建てで融資をする、ファンド内でヘッジをかけるなどの為替対策をしており、為替リスクが投資家に波及しにくい構造です。

また、クラウドファンディングでは集めた資金を一か所に投資する案件も多いですが、オルタナバンクでは複数案件に分散投資するファンドもしばしば販売されます。中には、海外と国内の事業者に投資するファンドもあります。

募集本数の多さを活かして、さまざまな年限や利回りのファンドを早いペースで出しているのが特徴です。特に年限については、1ヶ月程度の超短期から3年程度のファンドの設定も見られます。

オルタナバンクの代表的なファンド事例

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ファンド名投資先想定利回り運用期間 ※
累計申込総額400億円突破記念ファンド Part1企業向けの貸付資金8.2%2024/11/22〜2025/12/01
12ヶ月
【元利金一括返済】秋桜の初回投資家応援ファンド企業向けの貸付資金5%2024/11/22〜2025/06/13
6ヶ月
【超短期】投資家還元ファンド企業向けの貸付資金9.9%2024/11/20〜2025/01/15
1ヶ月
国内外分散中長期運用型国内外企業複数社への貸付資金7%2024/11/20〜2026/05/15
17ヶ月
【3ヶ月毎分配】モンゴル金融事業者中長期支援ファンドモンゴル企業への貸付資金8%2024/11/15〜2027/10/15
35ヶ月
※運用期間の記載はオルタナバンクWebサイトに基づく

Bankers/クラウドクレジット

Bankersは、株式会社バンカーズが運営する投資型クラウドファンディンです。2024年11月より、クラウドクレジットという別の投資型クラウドファンディングと統合してサービスを継続しています。

Bankers(旧クラウドクレジット含む)の概要

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運営会社株式会社バンカーズ
ファンド本数(調達額)133本
(BankerのWebサイト上で募集終了済みの銘柄を集計)
運用期間の目安 ※13ヶ月~25ヶ月
想定利回り目安 ※5.6%~9.1%
ファンドの主な投資先国内外の企業融資
その他の特徴・複数ファンドをまとめたパッケージファンドがある
・海外企業へ投資するファンド多数
・投資先が外貨建て円建ての双方の銘柄がある
最低投資金額1万円〜10万円
※2024年11月20日時点で募集終了済みの銘柄のうち、直近20銘柄をもとに集計

元々Bankersもクラウドクレジットも、企業の融資を小口化して販売する形式のファンドが主で、ソーシャルレンディングの一種と見ることもできます。特に、クラウドクレジットは海外企業向けの融資へ投資するファンドがほとんどでした。今後も一定程度は海外へ投資するファンドが供給されると想定されます。

Bankersでは、複数の投資先を一本にまとめた「パッケージファンド」も盛んに販売していました。投資先が分散されていて、貸し倒れリスクが抑えられているのが特徴です。また「女性の起業家支援」「SDGsパッケージファンド」などSDGsに焦点を当てたファンドもしばしば販売されています。

海外企業への融資は円建て・外貨建て双方のケースがあります。投資家はどちらのファンドも円で購入できますが、外貨建てのファンドは、ファンド内で外貨に変換するため、為替リスクが存在する分ややリスクが高くなります。一方で、運用期間中に為替相場が円安方向に動けば、為替差益により分配金が増える可能性もあるでしょう。

Bankersの代表的なファンド事例

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ファンド名投資先想定利回り運用期間
Buzzリースファンド第2-3号【借換ファンド】【償還実績あり】オートリース事業を行うSPC(特別目的会社)への融資4.67%2024/11/29〜2025/11/28
約12ヶ月
サービサー事業支援ファンド第1-17号企業への融資+約束手形の買取7.0%2024/12/10〜2025/06/10
約6ヶ月
【海外】短期6ヶ月ファンド第2号海外企業への融資+約束手形の買取8.0%2024/11/14〜2025/04/30
約6ヶ月
【円建て】東ヨーロッパデジタル金融サービス事業支援ファンド第1-11号キプロスのオンライン消費者金融への融資8.0%2024/11/15〜2025/11/30
約13ヶ月
【メキシコペソ建て】中部メキシコ中小企業向けローンファンド19号新興国への融資/SDGsへの貢献を意図11.0%運用開始日・終了日非公開※
約13ヶ月
※投資家限定情報

オルタナ

オルタナは個人が投資できるオルタナティブ・ファンドを販売するコンセプトで運営されている投資型クラウド・ファンディングです。大手総合商社の三井物産系の企業が運営しています。

オルタナの概要

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運営会社三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社
ファンド本数4本(オルタナWebサイト上で確認できる、募集終了済ファンドを集計)
運用期間の目安 ※4年11ヶ月~5年1ヶ月
想定利回り目安 ※3.4%~4.3%
ファンドの主な投資先ホテル・賃貸住宅 ※
その他の特徴・現状は全て不動産へ投資するファンド※
・デジタル証券へ投資するスキーム
・スマートフォンで投資しやすいWebサイト
最低投資金額1万円~
※2024年11月25日時点で募集終了済・運用中かつ詳細情報が確認できる4ファンドの情報をもとに記載

オルタナティブ投資とは、株や債券など伝統的な資産とは異なる資産へ投資する手法の総称で、不動産やインフラ、ヘッジファンドなどへ投資する場合が多いです。元々はプロ向け・機関投資家向けのファンドがほとんどで、最低投資額も大きい傾向にありました。

オルタナでは、デジタル証券の技術も活用して、1口10万円でオルタナティブ投資を実現したサービスです。現時点では、投資先が全て不動産のため、投資家からみれば不動産投資クラウドファンディングと似た印象を持ちます。
一方で、デジタル証券の強みを活かして、売却しやすい制度となっているのが特徴です。一部の期間を除いて、Webサイト内で売却の申請ができる仕組みとなっています。

また、オルタナのWebサイトによると、今後はインフラ投資ファンド組成の可能性もあるようです。オルタナ単体としては、まだファンド数が少ないですが、母体の三井物産は多額の事業投資を行ってきた大手企業です。
三井物産デジタル・アセットマネジメント単体でもクラウドファンディング以外の運用も行なっていて、2,000億円規模の運用資産を持っています。このような大手企業が運営している点は、オルタナの安心材料の一つです。

オルタナのファンド事例

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ファンド名投資先想定利回り運用期間 ※
三井物産のデジタル証券〜浅草〜浅草のホテル4.3%5年
三井物産のデジタル証券〜浅草・まちなか旅館〜浅草の旅館4.0%5年
三井物産のデジタル証券〜横浜〜横浜のマンション3.5%4年11ヶ月
三井物産のデジタル証券〜日本橋〜日本橋のマンション3.4%5年1ヶ月
※具体的な償還予定日は非公表

Funds

Fundsは、ファンズ株式会社が運営する投資型クラウドファンディングです。基本的には企業向けの融資を小口化して販売しており、ソーシャルレンディングの一種とみることができます。

Fundsの概要

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運営会社ファンズ株式会社
ファンド本数(調達額)461本
運用期間の目安 ※4ヶ月~36ヶ月
想定利回り目安 ※1.2%~3.0%
ファンドの主な投資先国内企業の融資
その他の特徴・厳格な資産をクリアした優良企業に厳選して融資を貸し出す方針
・1口1円から投資が可能
・多くの銘柄に投資家向けの特典が存在
最低投資金額1円
※2024年11月25日時点で運用が開始されている20本のファンドの水準をもとに集計

Fundsは、融資を貸し出す企業の信用力を厳選してファンドを組成しています。基本的には上場企業か監査法人の監査を受けた優良企業に貸出先を厳選する方針です。

Renosyを運営する不動産会社のGA technologiesや小売業のベルクなど、多くの上場企業が資金調達にFundsを活用しています。信用力が高い企業への融資が中心である分利回りが低めなのが特徴です。リスクを抑えて着実なリターンを追求する人に適したサービスといえます。

また、Fundsはほとんどのファンドが1口1円から投資可能です。たとえば投資先から少額の分配金が出たときには、すぐに別のファンドに再投資できるのが特徴です。そのため、利回りは低くとも効率良く投資ができます。

Fundsの多くの銘柄は「優待制度」という名で、投資家向けに特典を付与しています。多くは抽選制となっていますが、条件を満たせば全員がもらえる特典も一部あります。たとえば最近では次のような特典がありました。
頻繁に提供される優待も、Fundsへ投資するメリットの一つといえるでしょう。

  • データインフラ戦略ファンド#1:200名に「ホテルオークラ2種食べ比べセット」をプレゼント
  • くらしにベルクファンド#1:【Funds優待】獲得条件を満たした方全員にベルクペイ残高合計6,000円分をプレゼント!
  • ボルテックス リノベーションファンド#1:【Funds優待】獲得条件を満たした方全員にルタオの「ドゥクレムール」をプレゼント

Fundsのファンド事例

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ファンド名投資先想定利回り運用期間
seven x seven 石垣ホテルファンド霞ヶ関キャピタル社への融資2.3%2024/11/25~2026/5/29
約18ヶ月
フェイスネットワークファンド#11フェイスネットワーク社への融資2.0%2024/11/18〜2025/3/31
約4ヶ月
ボルテックス リノベーションファンド#1ボルテックス社への融資3.0%2024/10/15〜2027/9/30
約36ヶ月
TASUKI X-Techファンド#4タスキ社への融資2.4%2024/10/7〜2026/3/31
約18ヶ月
プロパティ・テクノロジーズファンド#5property technologies社への融資2.0%2024/10/7〜2025/5/30
約8ヶ月

Fundinno

Fundinnoは、小口投資のスキームで未上場株に投資ができるクラウドファンディングです。分配金は一般に発生せず、もっぱらEXITによるキャピタルゲインを追求するファンドという点で、ここまで紹介したクラウドファンディングとは大きく商品性が異なります。

Fundinnoの概要

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運営会社株式会社FUNDINNO
累計投資額
(2024年10月時点)
150億円
運用期間の目安 不定
想定利回り目安 不定
ファンドの主な投資先国内の未上場株への出資
その他の特徴・国内の未上場株に出資ができる
・基本的に分配金はなく、償還日の指定もない
・銘柄によっては優待が受け取れる
最低投資金額10万円程度

Fundinnoの最大の特徴は、クラウドファンディングを通じて未上場株に投資ができるという点です。概ね1口10万円程度の価格で投資ができます。

ファンドでは、それぞれ投資先となる未上場企業のビジネスモデルや将来性、今後のビジョンなどを紹介しています。それら情報をもとに、投資家が魅力を感じるファンドへ投資して、最終的な投資先となる株へ出資する仕組みです。

未上場株は、一般には上場株のようにリアルタイムでの売買ができません。そのためFundinnoも他のクラウドファンディングで見られるような償還日の設定はなく、M&Aによる買収やIPOによる上場時に未上場株を譲渡することにより収益が実現します。

また、Fundinnoでは未上場株のセカンダリーマーケットであるFUNDINNO MARKETを運営しています。業績が好調で順調に成長している企業であれば、セカンダリーを通じて売却し、収益化する余地もあるでしょう。実際にFUNDINNO MARKETでは、すでに1,000件以上の約定実績があります。

未上場株のほとんどは上場株のような配当金がありません。そのため、未上場株の収益は、もっぱら売却時のキャピタルゲインによって実現します。もちろん、途中で投資先企業が事業に失敗して倒産すれば、投資口は無価値化するリスクもあるので注意しましょう。

なお、Fundinnoのファンドの中には、投資家に対して、株主優待のような特典を付与するファンドもあります。

  • オーガニックnico:季節の有機野菜セットを提供
  • チョウシ・チアーズ:旬の「銚子ビール」6本セット提供
  • Kamanova:「Kamanova」を割引・実質無料で提供

Fundinnoで資金調達した企業の事例

Fundinnoの場合は、利回りや運用期間に定めがないので、代わりに過去に資金調達を行なった企業の事例やリターン実績を紹介します。

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企業名投資家リターン例
(実績・下段は投資期間)
事業概要
Innovation Farm+340%
2年10ヶ月
IoTビジネスの構築と運営に必要な、製品・サービスをオールインワンにまとめた統合型IoTプラットフォームを提供。
ハーバルアイ+50%
1年6ヶ月
漢方の考えに基づいた医薬品、サプリメント、遺伝子検査キットを販売。通信販売サイト『漢方生薬研究所』やドラッグストア『漢桜陽薬店』を運営。
nommoc+50%
1年9ヶ月
スマートフォンアプリで配車し、目的地まで無料で乗れるモビリティサービスの開発。
クェスタ+60%
2年11ヶ月
作業現場のDXやデジタルサイネージの開発・販売
※投資期間はファンドが定めたものではない。また、ファンドの解散・償還に基づく利益だけでなく、投資家が自己の判断で途中売却したケースも含む。従ってそれぞれの会社に出資した投資家全てが同等のリターンを獲得したわけではない

投資型クラウドファンディングは特徴をよく確認して投資判断を

一口に投資型クラウドファンディングと言っても、実際の投資先はサービスによって、そしてファンドによって大きく異なります。実質的に不動産への投資を行うものもあれば、企業の融資や債券に投資するもの、株式に投資するものなどがあります。

最終的な投資先によって、ファンドのリスクやリターンの特性も大きく違うので注意が必要です。投資型クラウドファンディングでの投資を検討する場合は、自分の投資スタンスを明確にした上で、それに見合った特性を持つサービス、銘柄へ投資しましょう。

2024年11月17日時点の情報をもとに記事を作成しています。

Fin/d編集部執筆者

株式会社ヒカリナ

20年にわたりネット証券・銀行など金融サービスの改善業務、コンテンツ企画制作を担当してきたメンバー、各種金融事業者での実務経験者、各種資格保有者で構成しています。豊かな人生を送るための基本とも言える金融商品・サービスについて中立的な視点で分かりやすく提供しています。

伊藤 圭佑監修者

証券会社、外資系資産運用会社で約14年の勤務経験を持つ。また、個人投資家として15年以上の資産運用経験を持ち、投資信託、株、ETF、不動産、FX、クラウドファンディングなどへ投資。キャリアを通じた専門性と個人投資家の経験を生かし、金融や不動産投資、経済関連の情報提供を行なっている。証券アナリスト、FP3級保有。

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