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FXの通貨ペアはどうやって選ぶ?初心者の基本的な考え方を紹介

  • 執筆

    Fin/d編集部

  • 監修

    伊藤 圭佑

更新日:2024.07.31

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はじめに

近年はFXの通貨ペアのラインナップが豊富な事業者が増えていて、数十パターン程度から選べるのが当たり前になってきています。初心者の方の場合、どの通貨ペアを選べば良いのか、どのような基準で考えるべきか迷うケースも多いでしょう。

今回の記事では、初心者におすすめの通貨ペアの選び方や代表的な通貨ペアの特徴について紹介します。初めてのFX投資の参考にしてください。

FXの通貨ペアの選び方

通貨ペアの選び方について、ポイントを4点にまとめました。

ポイント1

取引する通貨ペアを増やしすぎない

ポイント2

米ドル/円やメジャー通貨とのクロス円から選ぶ

ポイント3

適度な変動リスクの通貨を選ぶ

ポイント4

高金利通貨を選んでスワップポイントを稼ぐ

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

ポイント1取引する通貨ペアを増やしすぎない

どの通貨ペアを選ぶにしても、最初はペアの数を増やしすぎないようにしましょう。
FXでは、証拠金が足りているうちは複数の通貨ペアのポジションを持ち続けることが可能です。しかし、保有する通貨ペアの数が多くなると、資産全体の損益の動きが複雑化し、見通しを立てて投資するのが難しくなります。

最初は、1つの通貨ペアにフォーカスして投資するのがおすすめです。多くても、2~3ペア以内には抑えましょう。

ポイント2米ドル/円やメジャー通貨とのクロス円から選ぶ

初心者は米ドル/円やメジャー通貨とのクロス円から始めるのが定石です。メジャー通貨とは取引量が平均的に多い通貨の組み合わせです。またクロス円とは米ドル以外の通貨と日本円の通貨ペアとなります。

日本においては、一般の為替に影響する情報は対円で表現されるケースが多く、さらに、メジャー通貨は取引量が多い分情報収集がしやすいのが特徴です。
メジャー通貨のなかでも、米ドル、ユーロ、英ポンドあたりは特に流通量が多く、自分で情報収集をして見通しを立てやすいでしょう。これらの通貨はスプレッドが相対的に狭く、投資にコストがあまりかからない点でもおすすめです。

ポイント3適度な変動リスクの通貨を選ぶ

適度な変動リスクの通貨を選ぶのも有効な考え方です。
基本的にFXは為替差益を追求する投資商品ですが、あまりに変動が小さい通貨では、収益の獲得が難しくなります。一方で、新興国通貨やマイナー通貨の中には変動リスクが高すぎる通貨ペアもあり、これらは初心者向きではありません。

変動リスクは投資において重要な概念ですが、個人が計測するのは難しい指標です。ご参考として、2009年末~2024年6月末の月次為替データでみたときのクロス円の主要通貨別の1年あたりの変動リスクは次のとおりです。

※みずほ銀行「ヒストリカルデータ」をもとに監修者が算出

上記の変動リスクは「標準偏差」で計算されたもので、細かい説明は省きますが、一年間の為替の変動率が上記の水準に収まる可能性が高い(およそ68%の確率)ことを意味します。なお、レバレッジ1倍でのリスクである点に留意しましょう。

変動リスクの観点からは、初心者は上図の左寄りにある通貨と日本円とのペアを選ぶのがよいでしょう。

ポイント4高金利通貨を選んでスワップポイントを稼ぐ

高金利通貨を長期保有してスワップポイントを稼ぐのも一つの方法です。スワップポイントは、金利が低い通貨で金利が高い通貨を買い、保有することで発生する利益です。

日本円は2024年7月時点では海外の多くの通貨と比べて金利が低いため、クロス円で円から他通貨に交換する取引を行うと、スワップポイントがプラスとなり、日々少しずつ収益が得られる可能性が高いといえます。

スワップポイントの水準は、FX事業者によっても違いがありますが、2024年7月時点では以下の通貨ペアのスワップポイントが高い傾向にあります。

  • 英ポンド/円
  • 米ドル/円
  • メキシコペソ/円
  • ユーロ/円
  • 南アフリカランド/円

メキシコペソや南アフリカランドなどは従来から高金利通貨と呼ばれていて、安定してスワップポイントが高水準です。一方で、過去1~2年に政策金利が引き上がったため、英ポンド・米ドルやユーロのクロス円取引でも潤沢な金利収入が期待できます。

なお、逆に高金利な通貨を低金利な通貨へ交換すると、スワップポイントが日々マイナスになるので注意しましょう。足元でいえば、円を米ドルに交換する取引(いわゆる米ドル円の売り持ち/ショート)は、たとえ為替水準が横ばいでも、持ち続けると徐々に損失が膨らみます。

初心者におすすめの通貨ペア3選

初心者におすすめの通貨ペアは次の3つです。

  • 米ドル/円
  • 英ポンド/円
  • 南アフリカランド/円

それぞれの特徴について簡単に紹介します。なお、相場の状況は日々変化していきます。この記事は2024年7月時点での状況をもとに作成している点に、ご留意ください。

米ドル/円

米ドル/円の組み合わせは、グローバルで取引量が多い通貨ペアの一つで、日米の二国間の状況に加えてグローバルな市場環境・経済環境に応じて為替変動しやすいペアです。

相場情報が豊富に流れているため、初心者でも情報収集をして投資の見通しを立てやすいといえます。また、スプレッドが狭い傾向にある点も、投資しやすいポイントといえるでしょう。

2024年7月時点では米国の政策金利が高いため、スワップポイントが潤沢に得られるのもメリットです。ただし、スワップポイントは両国の金融政策によって変化する可能性がありますので注意しましょう。たとえば、米国は2020年頃にはゼロ金利政策を実行しており、その頃は得られるスワップポイントは少額でした。

英ポンド/円

英ポンドは、世界有数の経済規模を持つイギリスの通貨です。英ポンド/円のペアは、米ドル/円には及ばないものの、取引量の多いペアとなっています。また、イギリスの経済動向や金融政策は、グローバルに見て注目度が高く、情報収集がしやすいのも特徴です。

また、2024年7月時点では政策金利が高いため、潤沢なスワップポイントを得られるのが特徴です。事業者によっては、米ドル以上にスワップポイントが高い事例もみられます。ただし、欧州やイギリスの景気が減速すれば、将来利下げなどによりスワップポイントが低下する可能性もある点には留意しましょう。

南アフリカランド/円

南アフリカランドは、これまで紹介した2通貨と比べるとややマイナーですが、新興国通貨の中では日本で取扱の多い通貨の一つです。南アフリカは、アフリカ大陸の中では最大の経済規模を誇り、さらに天然資源にも恵まれています。新興国としては順調な経済成長がみられる国であり、新興国通貨に初めてチャレンジするうえでは適した通貨と言えるでしょう。

また、安定的に金利が高いため、潤沢なスワップポイントが長期にわたって得られると期待できます。一方で、あくまで新興国通貨なので、メジャー通貨と比べれば変動リスクは高めです。また、国の経済動向が資源価格に左右されやすい点には留意しましょう。

情報収集がしやすい通貨ペアで投資を始めよう

FX事業者は、多様な通貨ペアを取り扱っています。円の証拠金を預けるだけでさまざまな外貨へ投資できるのがFXの魅力ですが、初心者の方にとっては通貨ペア選びが悩みの種となります。

はじめから多数の通貨ペアに手を出すことはせず、また情報収集がしやすい通貨を選択するのが定石です。また、外貨対外貨の相場を見通すのは難易度が高いため、当面は米ドル/円またはクロス円で取引するのがよいでしょう。今回の記事を参考に、自分にあった通貨ペアを考えてみてください。

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2024年7月31日時点の情報をもとに記事を作成しています。

Fin/d編集部執筆

20年にわたりネット証券・銀行など金融サービスの改善業務、コンテンツ企画制作を担当してきたメンバー、各種金融事業者での実務経験者、各種資格保有者で構成しています。豊かな人生を送るための基本とも言える金融商品・サービスについて中立的な視点で分かりやすく提供しています。

伊藤 圭佑監修

証券会社、外資系資産運用会社で約14年の勤務経験を持つ。また、個人投資家として15年以上の資産運用経験を持ち、投資信託、株、ETF、不動産、FX、クラウドファンディングなどへ投資。キャリアを通じた専門性と個人投資家の経験を生かし、金融や不動産投資、経済関連の情報提供を行なっている。証券アナリスト、FP3級保有。

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