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- はじめに
株式ファンドと債券ファンドの双方へ投資すると、リスク分散が働き損失リスクの抑制効果が期待できます。今回の記事では、債券ファンドの特徴や投資するメリットをまとめました。
投資信託(ファンド)にはさまざまな種類がある
日本では、証券会社で日々売買できる公募の投資信託だけでも数千銘柄の投資信託が販売されています。その中には、株式に投資する投資信託以外にも、さまざまなタイプがあります。
- 株式に投資するもの(株式ファンド)
- 債券に投資するもの(債券ファンド)
- 複数の種類の資産に投資するもの(バランスファンド)
多くの方は投資先としてイメージしやすい株式ファンドを軸に投資を行っています。債券ファンドは相対的にリスク・リターンが低く、安全志向の方には適した投資先の一つですが、株式ファンドと比べるとマイナーな印象を持たれがちです。
株式ファンドに資産を集中させるリスク
投資=株式投資というイメージを持つ方は少なくありませんが、実は株式は初心者が取り組む投資先としてはハイリスク・ハイリターンな資産と言えます。
近年でも2020年の新型コロナ・ショックの局面では米国株価が高値からおよそ20%下がりました。過去を見れば、2008年のリーマン・ショックにおいては一時50%以上の大幅な下落を記録しています。(いずれも月次データの場合)
米国株式指数「S&P500」の各局面における最大下落率
月末ベースのデータをもとに計測
株式ファンドへ投資して株式の中で投資先を分散させても、市場悪化局面では数十%、時には半分以下まで資産が下がる恐れがあります。損失に対するリスク許容度は人それぞれですが、ここまで大幅に資産を減らす局面に、冷静に対処できる方は決して多くないでしょう。
債券ファンドと合わせ持つと、リスク分散効果が高まる
株式ファンド・債券ファンドを合わせて持てば、リスク分散の効果は一段と大きくなります。一般的な債券と株は、以下のように異なる値動きの特徴を持っています。
リスク・リターン | 景気拡大時 | 景気悪化時 | |
---|---|---|---|
株式 | ハイリスクハイリターン | 株価上昇により収益がでやすい | 株価下落により損失が出やすい |
債券 | ローリスクローリターン | 金利上昇による損失リスクがある | 金利低下で収益機会となる可能性 |
多数の債券へ分散投資する債券ファンドを保有した場合も、上の図と同等の効果が期待できます。債券ファンドへ投資すると、価格の変動を抑えるとともに景気悪化時の損失を抑制する効果が期待できるのです。
新型コロナ・ショックの局面におけるファンドの値動きをみてみましょう。米国株式のインデックスファンドのみを保有していた場合、先進国債券インデックスファンドと半々で保有していた場合の価格推移は次のとおりとなります。
新型コロナ・ショックの局面におけるファンドの値動き
2020年1月末から各ファンドへ投資したときの推移
債券インデックスファンド:eMAXIS Slim 先進国債券インデックスファンド、株式インデックスファンド:iFree S&P500インデックスファンドを例として使用。出所:大和アセットマネジメント、三菱UFJアセットマネジメント、2020年1月31日~2020年9月30日の分配金再投資基準価額をもとに集計。2020年1月31日の値=100として指数化
債券ファンドを組み入れておけば、市場悪化時の損失を抑える役割が期待できます。
また、債券ファンドは株式と比較して価格の値動きが緩やかなのも特徴です。債券ファンドを取り入れると資産全体の日々の値動きが小さくなり、長期で安心して投資を継続できるでしょう。
債券ファンドへ投資するときの注意点
債券ファンドへ投資するときには、次の点に留意してファンド選びをしましょう。
- 株式ファンドよりリターンは下がる可能性が高い
- リスクの高いファンドもある
- 外国債券へ投資するファンドは為替変動リスクがある
債券ファンドを資産に組み入れると、リスクとともにリターンも低下する可能性が高いです。基本的に債券は、株式よりも期待できるリターンが低い資産のため、債券ファンドの比率を高めるほど高いリターンがでにくくなります。リターンを少し抑えてでも損失リスクを軽減したい、安定志向の方に適した投資先の一つといえるでしょう。
また、全ての債券ファンドが一様に低リスクではありません。高利回りな債券に投資するハイ・イールド債券のファンドや新興国債券へ投資するファンドなどは、相対的にハイリスク・ハイリターンな商品です。
外国の債券に投資するファンドは、ヘッジがかかっていなければ為替変動リスクが発生します。たとえば投資期間中に円高になれば、債券自体のリターンはプラスでも、円換算すると損失が出る場合もあるのです。
為替ヘッジつきの債券ファンドなら、為替変動リスクを抑えられます。ただし、為替ヘッジは通常のファンド運用に加えてコストがかかるため、相対的にリターンが低下するリスクがある点には留意しましょう。
債券ファンドをうまく活用して市場悪化局面を乗り切ろう
近年は、数年単位に及ぶ大きな下落局面が発生していません。下落率としては新型コロナ・ショックが比較的大きかったものの、短期間で回復したため耐え切れた投資家も多いでしょう。
最近投資を始めた方は、まだ本格的な下落局面を経験していない点に留意が必要です。過去の実績をふまえると、数十年単位で投資をすればリーマン・ショックのような大きな下落局面に一度くらいは直面する可能性が高いといえます。
市場下落によって耐え切れないほどの損失を被らないよう、今のうちから対策をしておくことが大切です。今回紹介した債券ファンドをうまく活用すれば、市場悪化局面の損失を抑えられます。安定した資産運用を継続するためにも、ぜひ債券ファンドの組み入れを検討しましょう。
2024年2月20日時点の情報をもとに記事を作成しています。