UPDATE 2022.8.18
PTSとはProprietary Trading Systemの略で、証券会社が運営する私設取引システムのことです。PTSを利用すれば、投資家が東証などの証券取引所を経由せずに株式を売買できます。
国内のPTSは、SBIジャパンネクスト証券の「ジャパンネクストPTS」とCboeジャパンの「CboePTS」の2種類あります。
証券取引所の取引時間外でも取引できる
証券取引所よりも有利な値段で取引できる
東証などの証券取引所の取引時間は、前場9:00~11:30、後場12:30~15:00。
PTSは、ジャパンネクストPTSの場合ではデイタイセッション8:20~16:00、ナイトタイムセッション16:30~23:59と取引時間が長く、証券取引所の取引開始時間前や昼休み、夜間取引が可能です。
東証などの証券取引所では、一部の銘柄しか小数点以下の値段での売買はできませんが、PTSでは1株3,000円以下の銘柄はすべて小数点以下で売買することができます。ですから、より細かな値段で売買でき、証券取引所より高く売れたり、安く買えることがあります。
実際にPTSを利用している方は、どんなところにメリットを感じているのでしょうか。
日中お仕事をしている場合は特に、PTSの夜間取引に大きな魅力を感じている
ようです。
また、口コミにもあるように、企業の決算やニュースは取引所取引が終了した15時以降が多くなりますので、PTSならその結果を受けて夜間取引で売買できます。取引しない時でもPTSの株価をチェックすることで、翌日どの程度の株価になるかを予想する、といった活用もできますね。
メリットの多いPTSですが注意すべき点もあります。それは売買高が少ないことです。
そのため株価が動きやすかったり、なかなか取引が成立しないといったことがありますので心得ておきましょう。
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SBI証券 | 楽天証券 | 松井証券 | |
---|---|---|---|
接続PTS |
ジャパンネクストPTS |
|
ジャパンネクストPTS |
取引時間(デイタイム・セッション) |
8:20~16:00 |
CboePTS・ジャパンネクストPTS: |
8:20〜15:30 |
取引時間(ナイトタイム・セッション) |
16:30~23:59 |
CboePTS:なし |
17:00〜23:59 |
取扱商品 |
国内株式(現物取引・信用取引) |
国内株式(現物取引・信用取引) |
国内株式(現物取引・信用取引) |
特定口座 |
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NISA口座 |
※現物取引のみ |
※現物取引のみ |
※現物取引のみ |
取扱銘柄数 |
国内金融商品取引所に上場する銘柄のうち、ジャパンネクスト証券が指定する銘柄 |
東京証券取引所に上場する銘柄のうち、各PTSおよび楽天証券が指定する銘柄 |
東京証券取引所に上場している銘柄のうち、ジャパンネクスト証券が指定する銘柄 |
注文方法 |
指値注文のみ |
指値注文のみ |
指値注文のみ |
SOR注文 |
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類似サービス「ベストマッチ」 |
※PTS信用取引は、夜間取引には対応しておらず、取引時間が異なる。
SBI証券と松井証券では「ジャパンネクストPTS」、楽天証券では「ジャパンネクストPTS」と「CboePTS」を利用できます。2つのPTS市場を利用できるのは、楽天証券のみです。
ただし、「CboePTS」はデイタイム・セッションのみで夜間取引はありません。
注文方法はいずれも指値注文のみで、SOR注文(松井証券は類似サービスのベストマッチ)に対応しています。
SOR注文とはスマート・オーダー・ルーティング(Smart-Order Routing)の略で、東証やPTSなど複数の市場から最良価格で約定できる市場を自動で選び取引できる注文のこと。初心者の方にはなじみがない注文方法かもしれませんが、自動で有利な市場への注文が出せるのはとても便利です。
特定口座・NISA口座の利用については、3つの証券会社間での違いはありません。
なお、SBI証券、楽天証券、松井証券ともにPTS信用取引の取り扱いもあります。ただし、取引時間は東証と同じ(9:00~11:30、12:30~15:00)です。
気になる取引手数料はどうでしょうか。
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SBI証券 | 楽天証券 | 松井証券 | ||
---|---|---|---|---|
分類 | PTS取引手数料 | PTS・取引所共通 | PTS・取引所共通 | |
手数料コース |
1約定ごと |
1約定ごと |
1日定額制 |
1日定額制 |
5万円まで |
51円 |
55円 |
0円 |
0円 |
10万円まで |
94円 |
99円 |
0円 |
0円 |
20万円まで |
110円 |
115円 |
0円 |
0円 |
50万円まで |
261円 |
275円 |
0円 |
0円 |
100万円まで |
508円 |
535円 |
0円 |
1,100円 |
150万円まで |
608円 |
640円 |
2,200円 |
2,200円 |
300万円まで |
963円 |
1,013円 |
3,300円 |
3,300円 |
備考 |
ナイトタイムセッションは無料 ※インターネットコースのインターネット取引が対象 |
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国内株式の取引手数料は、1約定ごとの手数料と1日定額制の2種類があります。
SBI証券では、1約定ごとのPTSの取引手数料は証券取引所の手数料とは別に設定されており、PTSの方が5%程度安くなっています。1日定額制のコースは、1日の現物取引約定金額100万円までは0円ですが、PTSの取引所時間外の取引には適用されません。
楽天証券、松井証券では、PTSと証券取引所の手数料は同一で、PTSでの取引にも通常の国内株式手数料が適用されます。楽天証券では、1約定ごと・1日定額制の両方の手数料コースがあり、選択している手数料コースがPTSにも適用されます。松井証券は1日定額制のみです。
楽天証券や松井証券なら、1日の取引金額が1日定額制コースの無料範囲に収まれば手数料はかかりませんし、SBI証券ではナイトタイムセッションは無料で取引できます。
PTS取引を始めるにあたって申込みや手続きを行う必要はありません。
各社とも銘柄詳細画面や注文画面で、市場の選択のメニューで切り替えるだけで利用できます。
例えば、SBI証券では、銘柄詳細画面のタブを切り替えるとPTSで注文ができます。
まだまだ一般的ではないPTS取引ですが、取り扱う証券会社も増え、信用取引も解禁されました。ますます注目が集まりますね。
大手ネット証券の中では、SBI証券、楽天証券の国内株式手数料が低めで、取引ツールも充実しています。こちらの2社を軸に検討してみましょう。
2022年8月18日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。